「 先生 ッ 」
放課後 。
二階にある 、文化祭などで使用する物などが
保管されている物置教室に先生と二人きり 。
下校完了時刻はもう過ぎていて
生徒は私以外に誰一人居ない 。
他の先生達は一階の職員室で仕事をしていて
二階にある物置教室にまさか生徒がいるなんて
思ってもいないだろう 。
「 真輝先生 ッ 」
と 、もう一度名前を呼ぶ 。
「 どうした?」
首を傾げる先生に抱き着く 。
「 キスして ッ 、 」
と 、先生を見つめてそう言う 。
一刻も早く先輩とのキスを先生の唇で消して欲しい 。
「 いいよ 」
先生は頷くと 、私にキスをした 。
一瞬のキスで終わり 、少し複雑 。
先輩とは舌を絡める濃厚なキスをしているため 、
私の唇が可笑しくなったのかもしれない 。
唇が寂しくて無意識に口元に手を添える 。
そして 、そのまま先生を見つめた 。
「 何 ?」
と 、笑いながらそう言う先生 。
「 え 、いや … 何でもな 、ン 」
先生から本日二度目のキス 。
驚いていると
「 物欲しそうな顔してたから 」
と 、笑う先生 。
「 先生 、濃厚なのしてほしい 」
そう勝手に口が動く 。
ん?と苦笑を浮かべた先生は
少し考えてから 、口を開く 。
「 ずっと我慢してた 、濃厚なやつするのを 」
「 え?」
「 もう我慢しないよ?」
「 … いいよ ッ 」
そう言うと先程とは違う大人なキス 。
先輩とは違って強引ではなく私の様子を伺いながらの
優しいキス 。
クチュ チュ 、と音を鳴らす 。
先輩のときは嫌だった音が今では心地よい 。
唇を離すと銀の糸が私達を繋ぐ 。
キスだけなのに身体の力が抜けて 、
これが大人のキスなんだと思わず感心してしまう 。
「 キスだけでこんなにも顔が蕩けて 、 」
そう言いながら私の頭を撫でる先生 。
「 先生 ッ 、大好き 」
と 、無意識に言ってしまい
後から自分の言ったことの恥ずかしさに
顔が真っ赤に染まる 。
「 俺も好きだよ 」
先生は私の反応に笑いながらも 、
そう言った 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。