紫耀side
ー病院は8時までしかお見舞いに行けないー
ー紫耀は事務所を出てタクシーに乗り病院へ向かったー
早く着け…!
急げ!
ー紫耀は毎日病院に通っていたー
ーどんな理由があろうともー
ーロケ日ホテルに泊まった時だってテレビ電話をしたー
ー会える時は絶対に会いたいー
7:50
間に合え…
間に合えっ…
タクシー「はーいどうぞ」
ーその言葉を残してタクシーを飛び出たー
ー病院のドアの前に行くとー
スタッフ「すみません…」
スタッフ「今日はもう終わりなんです」
ー紫耀は精一杯頭を下げたー
ーすると、あなたの担当看護師さんが通りかかったー
看護師「あっ、平野さん?」
看護師「ええ、どうぞ」
看護師「30分だけなら」
ーその言葉を聞きすぐに病室に入ったー
ガラガラガラガラ
ーまだ消灯の時間ではなかったがあなたは寝ていたー
この寝顔…いつまでみられるんだろう
ずっとみてたい
怖いよ…
俺、一人じゃなんもできない…
あなたがいたから……
俺、なんてこと考えてるんだよ。
あなた、一緒に頑張ろうな。
ー30分だけだけどー
ーその間紫耀はずっとあなたの手を握っていたー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。