第14話

13*仲間
373
2021/10/12 09:33



あの日は裏道さんが私のアパートまで送ってくれた。



道中ではあんまり喋らなかったけど…。




自分の気持ちが整理しきれないまま、私はロケの疲れもあってか最低限の事だけをして布団に入った。












……今日はとりあえず休もう。



考えるのは明日から。







そう言い聞かせて眠りについた。
















____________


MHK









(なまえ)
あなた
え!?池照くんが風邪引いた!?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
はい。
さっき電話がありました。
(なまえ)
あなた
私がお手洗いに行っているうちに何て急展開。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
かなり辛そうだったっすよ。
(なまえ)
あなた
そういえば池照くん、昔から体はあんまり強くないって前に話してくれてたの思い出した…。
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
俺もその話は前に聞きました。
(なまえ)
あなた
もうちょっと気にかけてあげてれば良かった…(泣)
多田野 詩乃
多田野 詩乃
真冬の海で水着は、風邪引かない方が不思議よ…。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
でも裏道さんも水着でしたけど、全然元気じゃないっすか!
さすが筋肉…
表田 裏道
表田 裏道
あ?
兎原 跳吉
兎原 跳吉
ナンデモナイデスッッッ!!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
いけてるお兄さんの居なくてもどうにかなるママンとトゥギャザーなんて、悲しいでしょうがぁ!!
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
(まだそのノリ続いてるんだ。)
多田野 詩乃
多田野 詩乃
一人ひとりの存在がいかに大切かってのかを子供達に伝える良い機会です…それぞれがなくてはならない、かけがえのない存在なんだって!
(なまえ)
あなた
そうですね!
表田 裏道
表田 裏道
(あ、大真面目にそのノリに乗った。)
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
(まぁ見てて面白いから放っておこう。)


________


スタジオ










いけてるお兄さんいないと、寂しいなぁ。


もう収録始まるけど…。


表田 裏道
表田 裏道
あなた。
(なまえ)
あなた
あ、う…表田さん、どうしましたか?


名前で呼ぶのに慣れてしまったから、ついスタジオでも名前で呼びそうになってしまった。


表田 裏道
表田 裏道
体調は大丈夫か。
(なまえ)
あなた
あ、はい!
特に問題ないです。
表田 裏道
表田 裏道
なら、良かった。


裏道さんはそう言って、スタンバイ中のうさくまたちの元へ行ってしまった。





…心配してくれたのかなぁ。













___________




♪~♪~♪~






多田野 詩乃
多田野 詩乃
よい子のみんなー!
(なまえ)
あなた
こーんにーちはー!
男の子
男の子
いけてるおにいさんはー?
多田野 詩乃
多田野 詩乃
いけてるお兄さんは少し遠い所にいるけど、心はいつもみんなの傍にいるよ!
表田 裏道
表田 裏道
うたのお姉さん、ちょっと言い方に語弊が。
(なまえ)
あなた
またみんなと遊ぶために、絶対帰ってきてくれるよ!
女の子
女の子
とうとうクビ…?
男の子
男の子
かわいそう…。
表田 裏道
表田 裏道
あなたの名前のひらがなお姉さんも、言い方に語弊があるからね。




_______



うさお
うさお
そら真冬の海に1日裸同然でいれば体壊すわな。
普通の人間なら。
くまお
くまお
裏道さんは?
うさお
うさお
裏道さんはイケメンの皮を被ったゴリラだから……。




_________







うさお
うさお
『え~~ん、痛いピョン、痛いピョン!』
多田野 詩乃
多田野 詩乃
ウサオくん!どうしたの!?
うさお
うさお
『転んでケガして傷にバイ菌が入り込んじゃうピョン!とてもヤバイピョン!』
多田野 詩乃
多田野 詩乃
こんな時は…ジョキンダー!
表田 裏道
表田 裏道
はーっはっはっはっ!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
この声は!?
表田 裏道
表田 裏道
ジョキンダーなら今日は来ないぞ!
何故なら、奴はこのバイキンダーが風邪菌でやっつけてやったんだからな!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
えー!
くまお
くまお
『なんて悪党なんだクマ。』




…裏道さん、何やかんや今日のバイキンダーノリノリだな。

やっぱり池照くん居ないから!?



にしてもバイキンダーの衣装、やっぱりダサ…やば、目合うとこだった。




バイキンダーの部下、バイキンコの私は横で立ちながら、そのノリノリの演技に笑いを堪えるのに必死だった。




あ、ウサオくんが着ぐるみ越しにほっぺつねられてる…裏道さんは器用だよね。










表田 裏道
表田 裏道
また正々堂々あいつと戦える日までさらばだ。



バイキンダーとバイキンコの私たちは一度舞台から去って、超超高速着替えをして舞台に戻る。



毎度この早着替え、地味に疲れるんだよね…。







あ、裏道さんが闇(?)トーク始めちゃった。


相も変わらずブラックジョークが過ぎるよ裏道さん。


聞いてる大人の私の方がダメージ喰らいますよ(真顔)











__________














(なまえ)
あなた
お疲れ様でーす!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
お疲れ様ー!
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
お疲れ様です。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
お疲れっしたー!
表田 裏道
表田 裏道
お疲れ様。


収録が終わって皆で楽屋へ戻る。





池照くん、風邪は大丈夫かな…。


一人暮らしとかだと風邪引くと大変なんだよね…心細いし。





多田野 詩乃
多田野 詩乃
今日は飲みに行くわよ!
兎原 跳吉
兎原 跳吉
お!いいっすね!
表田 裏道
表田 裏道
俺は帰
多田野 詩乃
多田野 詩乃
うらみちお兄さんも来ますよね?(真顔)
表田 裏道
表田 裏道
…はい。
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
(これは強制参加なのか。)
(なまえ)
あなた
私は今日は用事があるので先に帰りますね。
多田野 詩乃
多田野 詩乃
えーー!?(泣)
兎原 跳吉
兎原 跳吉
あなたさんが飲み会来ないなんて珍しいっすね!
彼氏っすか?(笑)
(なまえ)
あなた
いたら色々と苦労しない(真顔)
兎原 跳吉
兎原 跳吉
スミマセン!
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
用事って、前に言ってたやつですか。
(なまえ)
あなた
そうそう!
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
良かったですね。
(なまえ)
あなた
ありがとー!
表田 裏道
表田 裏道
……。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
何の話っすか?
(なまえ)
あなた
私にも色々とあるのよ!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
まさか結婚…
(なまえ)
あなた
詩乃さん、彼氏いないのにどうやって結婚するんですか話の飛躍が半端ないですよ、疲れてるんですか。
多田野 詩乃
多田野 詩乃
ゼ○シィ置いたらその上にジャ○プが…
(なまえ)
あなた
う"……(察し)
兎原 跳吉
兎原 跳吉
まぁまぁ姐さん、あなたさんは用事あるみたいですし、話は居酒屋で…
表田 裏道
表田 裏道
(聞くのか。)
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
(この話の続きを聞くのか俺たちは。)
(なまえ)
あなた
あ!時間ヤバい!
皆さん、今日はお先に失礼します!!
多田野 詩乃
多田野 詩乃
お疲れ様ー(泣)
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
お疲れ様です。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
次の飲みは来てくださいよー!
表田 裏道
表田 裏道
お疲れ。





皆に挨拶して自分の楽屋に行き、ササッと着替えて喫煙所にも寄らずにダッシュで自宅へ向かう。






久々だから楽しみだなー!





でも皆と飲み会も行きたかったな…。






でも久々だし…。








ぐるぐると考えながら、私は走って自宅へ帰った。











__________



居酒屋


















多田野 詩乃
多田野 詩乃
結婚したい…。
表田 裏道
表田 裏道
お前が余計な話題振るからこうなるんだぞ…。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
え!?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
お前が悪い。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
熊谷まで!?
多田野 詩乃
多田野 詩乃
結婚……スピー。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
あ、姐さん寝ちゃいましたね…。
表田 裏道
表田 裏道
そりゃあんだけ話してたからな。
表田 裏道
表田 裏道
熊谷、ズボン大丈夫?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
大したこと無いですよ。
そもそも兎原が原因ですし。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
ひどいッッ!
表田 裏道
表田 裏道
…そういえば、あなたの用事って何だったんだろうな。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
飲みを断るレベルっすからねー。
男?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
思いっきり本人が否定してただろ。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
デスヨネー。
表田 裏道
表田 裏道
熊谷は知ってるんだろ?
何か会話が成立してたし。
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
はい、前に聞いていたので。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
熊谷だけズルくない!?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
ズルいとか無いだろ。
たまたま話聞いただけだし。
兎原 跳吉
兎原 跳吉
どんな用事なんだよー!
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
本人いないのに言うのは気が引けるから、直接あなたさんに聞けば?
兎原 跳吉
兎原 跳吉
熊谷のケチー。
表田 裏道
表田 裏道
……。
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
裏道さん?
表田 裏道
表田 裏道
ん、あぁ、何でもない。




あなたさんが先に帰ると言ってから、裏道さんの様子が少し変な気がする。



用事の内容がそんなに気になるのだろうか。



裏道さんとあなたさんの仲なら、話しているものだと思っていたけれど…そんな感じではないらしい。




兎原 跳吉
兎原 跳吉
あー…面白くなりてぇ…。
多田野 詩乃
多田野 詩乃
スピー。



…兎原が絡むと面倒だな。



熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
これ飲みやすいぞ。


俺は兎原にわざと度数の高い酒を渡す。


数分もしないうちに酔って寝るだろう。



兎原 跳吉
兎原 跳吉
ZZZ…


寝た。


予想より早く寝た。




裏道さんは…






心ここにあらずという感じだ。






熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
裏道さん。
表田 裏道
表田 裏道
何?
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
裏道さんはあなたさんの事、どう思ってるんですか。
表田 裏道
表田 裏道
…いきなりだな。
熊谷 みつ夫
熊谷 みつ夫
気になったので。



煙草に火を付け、ため息混じりに煙を吐き出す裏道さん。



表田 裏道
表田 裏道
…体大の後輩で体操のお姉さん。









本当にそうなのだろうか。


俺にはその言葉が腑に落ちなかった。







この人は昔から他人に対してあまり興味を抱かない。


俺達のような後輩や職場仲間とは話してくれるが、基本的には自分から話しかけに行くタイプではないと俺は昔から思っている。


だけどあなたさんに対しては、誰よりもこう…甘いというかよく見ているというか。


気にかけてるように俺には見える。












今も昔も。




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