第20話

関東事変④
2,657
2021/07/21 08:09
「邪魔すんなイザナ」


「どいてろ稀崎」


こりゃ、面倒だ

イザナが入ればタケミチくんの負けは確実

しかも、その体じゃ死んでもおかしくない




「全員まとめて、オレが殺してやる」




「させねぇよばか野郎!!」



勢いはあるけど、弱いんだよなー……
イザナの蹴りはしっかり入ってるし、



「テメェらがマイキーくんを狂わした!


オレがマイキーくんを守るんだ!!!」




「…………?」



止まった……?
力尽きた?


急に動きを止めたタケミチくんは、バッと拳をあげた。



「オレ、負けなかったっすよ」



「は?なに言ってる」



「総長!!」



まさか……



「ありがとう、タケミっち」



あれが総長………


無敵のマイキー……


金色の髪をハーフアップにしている小柄な男の子。
その姿が誰かと重なった



「ぇ……?」



あれ、って……





「天竺まだ半分くらい動けるぞ」



「200対2って事だな…………








ハンデいる?」




は……え…?





「200人?舐めてんのか………二万人連れてこいや!!」






なんで、ここにいるの……






「万太郎……?」





もう二度と会うことはないと思っていたのに





ふいと重なった視線。
あの頃に比べたら背だって大きくなっているし、少し顔も大人びた。それもそうだ。最後にあったのなんて、もう何年前の話だと…




「あなた…」




そうやって、名前を呼ばれることももう一生無いと思っていたのに



なんで、目の前に現れるの



私はあんたに、こんな自分を見られたくはなかったのに


あんたの前では、良いお姉ちゃんであり続けたかった



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「久しぶり、万太郎。まさか、総長やってるとは思わなかった」


敵の総長と話しててもイザナが何も言わないのは私に対する信頼か。はたまた私と万太郎が知り合いだってことをどこかで知ったのか。

それはわからないけど、あり得ない状況に他のメンバーはざわついている。特に東卍の。

でも、副総長くんだけは何やら少し悲しそうに万太郎を見ていた。


「あなたこそ」


「私。何があっても自分がついていく男を決めた。


だから、万太郎。例えあんたが相手でも、私はイザナを裏切るなんてできないから。」


「うん」


「何があっても。これだけは譲れない。」


「分かった」



「私は天竺副総長の白峰あなた。



かかってこいよ、″マイキー″」




あんたは私が沈めてあげる

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