第15話

過去②
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2021/08/08 01:53
「あなたちゃん?!」

「うへー…、ごめんなさーい」

「何回言ったら分かるの!勝手に外にいかない!」

「私、もう中学生なんだけど。そんな心配されなくても平気」

「こら!あなたちゃん、待ちなさい!!」

「さよなら~」


後ろで怒鳴っている施設長にひらりと手を振り、自身の部屋に入る。

「めんどーだなー…。何回言っても無駄だって分かれよ…」



施設に来てから1年。私は近くの高校に進学した。

「あなた」

「イザナ?どしたの?」

「くせぇ…」


失礼な

「やっぱ血の臭いする?失敗したなー…ちょっと被ったんだよね」


今日殺ってきたのはどこかの会社の人。依頼人が会社の取締役だったからか、金は百万を越えた。

「なんか、自分に意見する奴だったから気にくわなかったらしいね?ふはっ…、そのうち自分が殺されるかもしれないのに?」


同時に依頼されてんの。

だから、


「今度はあいつを殺しに行かなきゃ」


「……ふーん」


イザナは興味なさげに隣に座った。そのイザナにさっき買ったアイスを手渡す。


「そう言えば新しい子来たらしいじゃん。会ったの?」

「興味ない」


しゃり…と音をたててアイスをかじる。何が一番美味しいって、バニラとチョコの組み合わせだと思う。ついでに言うとチョコがコーティングされたアイスが一番うまい。


「何処にいんだろ…。探そ、イザナ」

「は?」

最後の一口を飲み込んでから、にっと笑う。あからさまに面倒くさいという顔を見せながらも、ついてきてくれる。


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「みっけ」


施設の建物と建物の隙間。地面にせっせと山を作っている男の子。


「何つくってんの?」


声をかけると、バッと振り向いた。

たしか……鶴蝶だっけ?


「お父さんとお母さんのお墓…」


あぁ…たしか……事故で両親死んだんだっけ?


隣にいたイザナが珍しく鶴蝶に興味を持ったらしい。自ら近づいていって、鶴蝶が作っていたお墓を蹴り飛ばした。


「何すんだよっ…!!」


グイッ


「オレの下僕として生きろ」



無茶な奴だと思うよ


誰に似たのか…………私か


私も人のこと言えないもんなー……


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「雪…!」

窓から外を覗いたカクがぱっと笑う。

「あなた!!」

「ふー…はいはい。イザナ行こ」

「お前ガキかよ」

「イザナには言われたくないでーす」


イザナの手を取り引っ張る。

コートを着込みマフラーを巻く


「さむっ…」


子供体温か……

カクは元気だね…



雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり。
まともな遊びをした気がする。

そのあとに作った大きなかまくら


中にライトを持ってきて、紙を広げる。


「国を作る」


イザナと昔からずっと話していたこと。


「身寄りのない奴等をみんな国民にして、居場所を作ってやるんだ」



「国の名前は?」



「「天竺」」


イザナと一度目を合わせてからにぃっと笑う。


ゴロリと雪の上に寝転んでいるイザナとカクの間に倒れこむ。ぐぇっという声が聞こえた。


「天竺……きっといい時代になるよ」


私たちが作る

最高の時代


「ずっと3人だからな」


「…うん……約束」


イザナとカクの小指に自分のものを絡める。

約束をした。


あの時はずっと一緒にいれるものだと疑わなかった



けど、それから一週間後


私は施設を出た。
二度と戻らなかった

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