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第1話

突然の迷い人
ここ、アヌザ国は───。

王都があり、経済的にも栄えている南部と、
貧しいけれど自然豊かな北部から成る国。

このふたつの違う個性を持った地域は、それぞれに歩み寄ることができず、昔から今にいたるまで、ずっと仲が悪い。
ソフィア
ソフィア
ドロシーおばあちゃん、ソフィアです!
くだものを届けに来ました
ドロシー
あら、ソフィア。
いつもありがとう、助かるわ
そして私は、アヌザ国の北部に住む町娘。
名前はソフィア。

小さい頃に両親を亡くした私は、北部の優しい人達に沢山の愛情を注いでもらい、のびのびと育った。

今は町はずれの小さな家に一人で暮らしながら、くだものを作り生計を立てている。特技の木登りを活かして、自ら収穫し、お世話になっている町のみんなへおすそ分けするのもひとつの楽しみだ。
***
ソフィア
ソフィア
すっかり暗くなっちゃった
独り言を呟いて、家までの道を歩き出す。

この辺は、街灯がいくつか並んではいるものの、夜になるといつも薄暗い。とはいえ、北部はとっても治安のいいところ。

心配することは何も……
ソフィア
ソフィア
っ!?
???
……?
突然、目の前に現れた男に一瞬ビクリと肩が跳ねた。

北部ではあまりお目にかかることがない、見るからに高級そうな服を着こなしている。

しかし、その視線は落ち着きなく周囲をさまよっていて、その姿は誰がどう見ても……迷子。

こんな所で道に迷うなんて……。
???
お、ちょうど良いところに。
少し道に迷った。
南部へ戻るにはどの道を行けばいい?
ソフィア
ソフィア
あ、えっと……この先をもう少し進んだところに南部の町への標識が出ているので
ソフィア
ソフィア
そこを右折してしまえば、
あとは道なりだと思います
ソフィア
ソフィア
ただ、この先は街灯がないと聞くので、
夜に歩くのはあまりオススメしません
???
……街灯がなくなる?
これ以上にか?
私の言葉に目を見開いた迷い人は、確認するように周りを見渡す。
???
……なら、今晩帰るのは諦めるか。
近くに宿は?
ソフィア
ソフィア
……宿?
???
宿泊可能な施設は?
……まさか、俺に野宿しろとでも?
北部はお年寄りが多く、早い時間に家の灯りも消えてしまう。旅人が来るような土地ではないので、宿泊施設なんてものは存在しないし。
ソフィア
ソフィア
……そ、それなら──。
***
ソフィア
ソフィア
はい、できましたよ〜
……自分でも人がよすぎる、とは思いつつ。
困っている人を放っておくわけにもいかず

『私の家で良かったら、泊まっていきますか?』

我ながらとんでもない提案をしてしまった。
ソフィア
ソフィア
お口に合うといいんですけど
採れたての果物や、野菜、鮮度のいいお魚で腕によりをかけて作ったご飯を並べて。

向かいの席で物珍しそうに私の作った料理を見つめる迷い人。アランさんといって、やはり南部からやってきたらしい。
アラン
アラン
……ん、うまい。
城の飯より素材の味が活きている
ソフィア
ソフィア
果物は私が育てたものです
ソフィア
ソフィア
お野菜もお魚も近所の方々に
今日いただいた採れたてです!
アラン
アラン
……なるほど。
北部は自給自足なのか
ソフィア
ソフィア
南部はどんなところですか?
私、北部から出たことがなくて
好奇心から南部のことを尋ねれば、アランさんはほんの一瞬、切なそうに目を細めた。
アラン
アラン
窮屈で不自由なところだ。
豊かさに酔いしれ、
大切な何かを忘れている
ソフィア
ソフィア
……え?
どこか寂しそうに、そして自嘲気味に放たれた言葉。アランさんの瞳が揺れるのを見つめながら、私の胸がザワついていく。
ソフィア
ソフィア
……あっ!こら!!
今、トマト端に寄せましたね?
好き嫌いしたらダメです。
全部残さず食べてくださいね
アラン
アラン
……っ、
ソフィア
ソフィア
……え?なんです?
私、変なこと言いました?
アラン
アラン
……フッ、いや。
俺に"ダメ"なんて言うのは
オリバーくらいだから少し新鮮だった
ソフィア
ソフィア
……?
訳が分からない私を他所に、なぜか嬉しそうに笑ったアランさんが、パクリとトマトを口に放り込む。

「ん!んまい!」の言葉に、単純な私は一瞬で嬉しくなってしまった。