第21話

妻として迎えたい人
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2021/11/28 09:00
アランside
アラン
アラン
時間を作っていただき、感謝します
スコット
陛下の頼みとあれば、
断る理由もないでしょう
アラン
アラン
スコット伯爵……
その呼び方はやめてください
スコット
ハハッ、若き国王陛下は
相当まいっているようだね
アラン
アラン
ええ、体は一つしかないのに
やらなければならないことが多すぎて
スコット
懐かしいな、君の父上も昔よく
同じことをおっしゃっていたよ。
さて、君も20歳を迎えたことだし
支えてくれる妻を娶ってはいかがかな?
スコット
とはいえ、……わが娘、
エマはまだ幼いところがある。
おまけにご存知の通りお転婆でね。
陛下とこの国を支えるのは難しいだろう
昔から、どんなときも穏やかで優しいスコット伯爵は、国王である父上の大親友だった。

父上が亡くなった時も1番に力になってくれた。
俺にとって第2の父と言ってもいい存在だ。
アラン
アラン
……その事で、
折り入ってお願いしたいことが
この人なら、俺を分かってくれる。
受け入れてくれる。

……そう信じてここへ来た。
誰に頭を下げることになっても、例えそれが、”一国の王がが簡単に頭を下げるなんて”と非難されても。

───彼女との未来だけは、諦められない。
***

父上が急逝してから今日まで、国王としてとにかく必死だった。

父上の側近たちの中に、俺の失脚を狙う者がいることにも気付いていた。
側近たち
陛下、何処へ行かれていたんです!?
いつまでも王子の時のように
自由に振舞われては
国内外に示しがつきません
側近たち
いつも申しておりますが、
国王たるもの早く身を固めねば
隣国からも軽んじられます!
側近たち
早くエマ様とのご結婚の日取りを……
俺の後ろをついて回り、二言めには結婚を、と騒ぎ立てる側近たちにもいい加減うんざりだ。

国王たるもの、国のため、民のため、己の自由がないことは仕方のないことだと、父上は常々仰っていた。

だが、父上は決して家族との時間を蔑ろにはしなかった。
母上との時間を、俺との時間を、家族3人の時間を作って、いつも温かく笑っていた。
アラン
アラン
話がある
広間に皆を集めてくれ
……俺も、そんな家族を作りたい。
国を、民を思うのであれば尚更、俺が幸せでなければならないと思う。

俺が満たされていなければ、この国に幸せをもたらすことはできない。
***
側近たち
陛下、皆、集まりました
アラン
アラン
忙しいところ、
集まってもらいすまない
アラン
アラン
ここ最近、
やけに私の結婚を急かす声が多く聞こえ、
私自身、国王たるものどうあるべきか、
よく考えた……
側近たち
……陛下、ついに
ご結婚される決意を!
アラン
アラン
あぁ。これまでは早くから押し付けられた
国王という重責から逃れたいと思っていた
アラン
アラン
だが知れば知るほど、この国には
たくさんの素晴らしい人や物がある。
それは南も北も関係ないということを、
私は自分のこの目で見て、触れて、感じた
側近たちは、俺が何を言いたいのか分からないと言わんばかりに、首を傾げ始める。
アラン
アラン
私は立派な王になりたい。
私が目指すのは隣国への見栄や、
くだらない誇りに固執するような王ではない
側近たち
……っ!
俺に必要なのは、ただ1つ。
アラン
アラン
私が思う立派な王になるために、
妻として迎えたい女がいる
ソフィア
ソフィア
……アラン様!!
アラン
アラン
───ソフィア!?
ルシア
あらあら、
芯の強さは私譲りかしら?
エマ
エマ
少し見直したわ
ルイ
ルイ
 ……陛下が本気なら
俺の出る幕はない、か
アラン
アラン
……母上、エマ……
それにルイまで
突然、広間の扉が開き、雪崩込むように中に入ってきたソフィアに続いて、母上と、エマ、そしてルイが俺に向かってゆっくりと歩み寄る。
ソフィア
ソフィア
もう、1人にしませんから!
……私が、アラン様を支えます
アラン
アラン
……フッ、
俺が、この国を護っていくために、1つだけ求めるもの。自分の意思で、どうしてもそばにおきたいもの。諦められないもの。

───それが、ソフィアだ。

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