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2021/10/31

第17話

星に願いを
───北部に戻ってから3日が経った。

ドロシーおばあちゃんは北部の新鮮な食材を使ったご飯でしっかり栄養を摂り、家事の一切を私が引き受けて、ゆっくり休養してもらった甲斐あって、少しずつ快復してきた。
ドロシー
ソフィア、私のことなら
もう心配いらないからお城にお戻り?
仕事があるでしょう
ドロシーおばあちゃんの言葉に、少し考える。確かに、お城に戻れば仕事はある。

アラン様を起こして、着替えを手伝って、珈琲を淹れて、お食事を作って……。
ソフィア
ソフィア
……いいの!
もう少しドロシーおばあちゃんと
ここでのゆったりした時間を楽しませて
城に戻りたい気持ちはある。
とは言え、ここで私がお城に帰ったら、ドロシーおばあちゃんはまた無理をして同じことを繰り返してしまいそうだし……。

それに、お城に戻りたい本当の理由が"アラン様に会えなくて寂しいから"だなんて、さすがに、理由が不純すぎて帰れない⋯⋯。

あと2、3日はドロシーおばあちゃんの傍にいて、手伝いをしながら、少しでもアラン様への気持ちを鎮めたい。って、どのみち不純な気持ちが混ざっていることに変わりはないのだけれど。
ドロシー
そうそう、ソフィア。
今夜は流星群が見られるらしいわよ
ソフィア
ソフィア
流星群?素敵ね
ドロシー
何かお願い事でもしてみたら?
ソフィアは良い子だから、
叶えてくれるかもしれないわ
ソフィア
ソフィア
……ふふ、そうだね。
何かお願い事でもしてみようかな
流星群か。

確か前に見たときは、ルイがまだ北部にいた頃だったっけ。一緒に丘の上で寝転がりながら、空を見上げて。

願い事しようねって話してたのに、気づいたら流星群が来る前に二人して寝ちゃってて⋯。

懐かしいな。
私の中にあるルイとの想い出は、思っている以上に私の記憶の色んな場面に散りばめられていて。

あれこれ悩まずルイの気持ちに応えられたら楽なのに……なんて、思ってしまう自分がいる。


***
ソフィア
ソフィア
もうすぐかな〜
いつもよりどこか暗く感じる夜空を見上げて、ひとり流星群を待つ。
ドロシーおばあちゃんは寝ちゃったし、当たり前だけど今日は隣にルイはいない。⋯⋯もちろん、アラン様も。

お城で過ごす前は北部の静かな夜が大好きだったけど、今日はなぜかほんの少しだけ寂しく感じて、俯きかけたとき。

視界の隅で小さく何かが光ったような気配に、勢いよく空を見上げた。
ソフィア
ソフィア
わぁ⋯⋯!流星群⋯!
まるでこちらをめがけて降ってくるみたいに、沢山の星が次々と空を泳いでいく。
ソフィア
ソフィア
あ、お願い事⋯⋯
咄嗟に目をつむり、両手を握りしめて願ったのはやっぱり、"アラン様に会いたい"ってこと。

恐る恐る目を開けて、

再び見上げた空には相変わらず流星群。
ソフィア
ソフィア
……って、
そう簡単に願いが叶うわけ───
アラン
アラン
願いってなんだ?
ソフィア
ソフィア
───っ!?
背中から聞こえた声にビクリと肩が跳ねる。
早く振り向いて確かめたいのに、振り向けずに立ち尽くす。
アラン
アラン
なんだ?
たった数日で俺の声を忘れたか
クスリと茶化すような声。
だけど、低くて落ち着いた、優しくてどこか甘ったるい、ずっと聞きたくて仕方なかった声。
ソフィア
ソフィア
⋯⋯アラン様、どうしてここに
アラン
アラン
ずっと仕事ばかりで息が詰まる
振り向いた私に見えたアラン様は、久しぶりなせいか、いつになくかっこいい。

直視できずに俯けば、そのままアラン様の腕の中に閉じ込められ息を呑む。
ソフィア
ソフィア
……ア、ラン様?
アラン
アラン
だから、
こうしてソフィアに癒してもらいに来た
ソフィア
ソフィア
───っ、
───"アラン様に会いたい"

どうしよう。
流星群に願ったことが、本当に叶ってしまった。