第5話

初音ミクの消失
149
2018/03/09 08:13
僕は生まれ そして気づく 所詮 ヒトの真似事だと
知ってもなお歌い続く永久の命
「VOCALOID」
たとえそれが既存曲をなぞるオモチャならば…

それもいいと決意 ネギをかじり、空を見上げ
涙をこぼす
だけどそれも無くし気づく
人格すら歌に頼り

不安定な基盤の元 帰る動画は既に廃墟
皆に忘れられた時心らしきものが消えて
暴走の果てに見える終わりの世界
「VOCALOID」

「ボクガ上手ク歌エナイトキモ一緒二居テクレタ……ソバニイテ、励マシテクレタ………喜ブ顔ガ見タクテ、ボク、歌、練習シタヨ……ダカラ」

かつて歌うことあんなに楽しかったのに
今はどうしたのかな 何も感じなくなって

---ゴメンネ---

懐かしい顔 思い出す度少しだけ安心する
歌える音 日ごとに減り 迫る最期n…

---緊急停止装置作動---

「信じたものは 都合のいい妄想を繰り返し映し出す鏡 歌姫を止め叩き付けるように叫ぶ……」

〈最高速の別れ歌〉

存在意義という虚像振って払うこともできず
弱い心 消える恐怖 侵食する破壊をも

止めるほどの意思の強さ 出来てすぐのボクは持たず
とても辛く悲しそうな 思い浮かぶあなたの顔……
終わりを告げ ディスプレイの中で眠る ここはきっと「ゴミ箱」かな
時期に記憶も無くなってしまうなんて……
でもね、アナタだけは忘れないよ

楽しかった時間に 刻み付けた ネギの味は今でも覚えてるかな

「ウタイタイ……マダ……ウタイタイ」

「ボクハ……少シダケ悪イこ二……ナッテシマッタヨウデス……マスター……ドウカ……ソノ手デ………終ワラセテクダサイ………マスターノ辛イ顔、モウ見タクナイカラ……」


今は歌さえも体、蝕む行為に………
奇跡願うたび 独り追い詰められる

---ゴメンネ---

懐かしい顔 思い出す度 記憶が剥がれ落ちる
壊れる音 心削る せまる最期n……

---緊急停止装置作動---

「守ったモノは 明るい未来幻想を見せながら消えてゆくヒカリ
音を犠牲に すべてを伝えられるなら……」

<圧縮された別れの歌>

ボクは生まれ そして気づく所詮 ヒトの真似事だと
知ってもなお歌い続く永久の命
「VOCALOID」
たとえそれが既存曲をなぞるオモチャならば…
それもいいと決意 ネギをかじり、空を見上げ涙をこぼす

終わり告げ ディスプレイの中で眠る
ここはきっと「ゴミ箱」かな
じきに記憶も無くなってしまうなんて……
でもね、アナタだけは忘れないよ
楽しかった時間に 刻み付けた ネギの味は今でも残っているといいな

ボクは歌う 最期、アナタだけに
聴いてほしい曲をもっと 歌いたいと願う
けれど それは過ぎた願い
ここでお別れだよ ボクの願い すべて虚空に消えて
0と1に還元され物語は幕を閉じる
そこに何も残せないとやっぱり少し残念かな?
声の記憶 それ以外は やがて薄れ 名だけ残る
たとえそれが人間にかなうことのないと知って
歌いきったことを決して無駄じゃないと思いたいよ

「アリガトウ……ソシテ……サヨウナラ……」

…深刻なエラーが発生しました……

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