桜の咲く春の溜息なれたら
泣いてるキミの鈴の音をそっと
揺らしてあげられる?
どうしたってさ人目を惹く
黒い髪と華奢な肩は
指の間をするりと抜ける
どうやら見えないらしい
わかっている それでも
その声を聞いて 僕は救われた
キミで満たされていく
桜花 君に恋したようだ 催花雨に袖を引かれて
今日も傍にいていいですか
千の夜に閉ざされても 理に 叶わなくても
君に届け 月夜二袖シグレ
その時計を 左向きに回せたって それくらいさ
隣の世界じゃ どれもガラクタで
価値のないものらしい
いつしか誰かと愛を紡いだって
泣きそうな夜は
傘を差してあげよう
桜花 僕は恋に落ちた 水面の月を求めた
されど手遊ぶはガラスの色
千の夜は瞬く間に 闇夜を塗って 君を隠す
行き場のないこの手は空を切る
ねぇ 見えなくたってかまわない
好きだって言わせてよ
いつまでも ここにいるんだ
桜花 君の隣にいるのになあ
遥か遠く 遠く遠く 咲き乱れる
ボクは幸せだ 泣かないから
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜二袖シグレ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!