私は蓮実に肩を持たれ、うずくまっていた蓮実の胸から顔を出した。
こんなにも蓮実が大きくなっていたなんてぇ。
ああ、私だけを愛してくれる人ぉ。
愛されることがこんなにいいことだなんて、
初めて知ったんだよ?私ぃ。
自分がまだ策を越えていたことを忘れていた。
肩を強く押された。
蓮実に押されたぁ…って…なんで!?
何かに捕まらなきゃ。
蓮実にでも捕まれば…、そう思っても蓮実はもう遠い。
なんで…、蓮実に殺されなきゃいけないの。
私のことを愛しているんでしょう?
待ってよ。
蓮実が私を見つめてくれ続けるなら、
私はそれでいいんだよ?
ねえ、蓮実。
別にもう誰に見てもらわなくても。
麗央のことは大好きだよ?
嫉妬?したの…、ねえ、どうなの?
私をまた、裏切るの?
『好き』って言ったのに。
見えたのは、蓮実の顔…、
裏切り者の顔をした男と、
ただ、ただ青い空だけだった。
ーーーーーーENDーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。