蓮実視点です。
*****
『高城麗央をオトス、シナリオ』
これが…、
僕が深鈴ちゃんの為に作ったこれが…、
僕を苦しめた。
僕はずっと、深鈴ちゃんが好きだ。
物心がついた時にはもう大好きで。
いや…、そんな言葉で表せない。
言えば…、
僕が生きる上で必要不可欠な存在…。
でも僕は深鈴ちゃんの味方でいなければいけなかった。
深鈴ちゃんにとっての僕は、
((信頼出来るただの幼馴染))
だから、隣にいる為には深鈴ちゃんの恋を応援しなければいけなかった。
それが僕の仕事でもあった。
でもね、ごめんね、深鈴ちゃん。
やっぱり僕は深鈴ちゃんが好きだ。
大好きなんだよ。
麗央くんになんか取られたくない。
僕は麗央くんを追いかけて、高校に入ろうとした深鈴ちゃんの為に、親の反対を押し切って、アホな学校を受験した。
深鈴ちゃんは僕がいなきゃ。
僕がいなきゃ、告白すらできないのに。
僕に消えて欲しいなんて。
だけれど、それでもいい。
僕がこの世界から消えることで、
深鈴ちゃんが喜んでくれるなら。
僕にとっては最高の幸せだ。
でも…、僕は…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!