第8話

ろく★
95
2019/05/02 14:30
髪をバッサリと切った。
首が少しばかり寒いのは気のせいだろう。
蓮実
み、深鈴ちゃん。
深鈴
髪…、切ったよ、だから…ね?
蓮実
う、うん…。
歯切れの悪い返事に私は苛立ちを隠せなかった。
本当にイライラしてたまらない。
誰もいない夕方の教室。

部活動の生徒が少しばかり残っているだけで、
それ以外の生徒たちは帰っているだろう。

グラウンドではラグビー部が叫んでいるようで、声が窓を閉めても聞こえてきた。
深鈴
さあ、消えてよ…、蓮実!
蓮実
じゃあ…、屋上に言ってくるよ。
麗央
おーい!蓮実…って!!
ここにいたのか!蓮実!!
教室から出て行こうとした蓮実を見つけたのは麗央だった。
なんで、麗央が蓮実を探していたの?
このまえ、毎日、彼女と帰ってるって…。
深鈴
麗央…どうしたの?
麗央
どうしたのって…一緒に帰るんだよ。
一緒に帰るって…蓮実と?
たしかに蓮実も麗央と小学校からずっと、同じ学校だけれどそこまで仲がいいはずが…。
深鈴
だ、誰と…?
麗央
蓮実だけど…ってえ!?
蓮実、言ってないの?
蓮実
ご、ごめん!まだ、言えてなくて。
何なの…。
なにが起きてるの?
麗央と蓮実がなにかを言い合っているけれど、私の耳には全く入ってこない。

本当に何なの?
置いてきぼりにしないでよ。


だからかな…?
聞こえないふりをしたかったけれど、その言葉だけはすんなりと入ってきてしまった。
麗央
俺ら、付き合ってんだよ。

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