神山side
次の日。
朝から始まる打ち合わせ。
隣に座っているしげを見ればちょっと後悔。
スッキリした顔で来るかなって思ったけれど
どうやら違ったから。
アドバイスしない方が良かったんかな…。
無理に笑わんでもええのに…。
何年一緒にやってきたと思ってんねん。
俺ら「かみしげ」やで?
メンバーが気付かないようなこと
俺にはすぐ分かんのに…。
俺的には全然ええのに。
しげはいつも俺らが思っている以上に頑張ってるから
たまには息抜きも必要なのに…。
しげは知らんかもやけど
噂によればまたドラマ決まるらしいやん…。
しかも今度は主役。
もし噂が本当になれば
ますます会う時間なんか無くなるのに…。
あなたさんは笑窪を出して笑うんや。
ならしげとお揃いやな…。
でもちょっとお揃いやないか…。
あなたさんは笑窪出して笑うのに
久しぶりに笑ってくれて嬉しいはずなら
ならなんでしげは偽りの笑顔で笑ってるんや?
嬉しくないん?
10年近く寝ていた愛しい人が
自分の目の前でまた笑ってくれたんやで?
なのになんでそんな悲しいん?
お得意のニコニコ天使ちゃんはどこいったん?
急に真剣な表情に変わって資料を読み込むしげ。
しげが真剣に見ていたのは
何万回だって「君が好き」の照明ページ。
あぁ、そういうことね。
あなたさんに聞かせたいんやな。
そりゃ俺も頑張らなあかんな。
シャイ岡だと言われている俺の隣に座っているしげは
1人の心から好きな女性に対してはそれは別らしい。
確かにこの歌詞と
今のしげと少しリンクする所もあるもんな。
何気ない時にふと感じる「幸せ」。
それはもう数えきれないほど。
でもどの答えを言えばしげは納得してくれるんやろ。
ペットと過ごしている時?
作詞作曲している時?
振り付けをしている時?
甘いもの食べてる時?
こうやって集まってる時?
……あぁ、これやん。
あんまり詳しくは知らんけれど
長い年月の分、苦しい感情はきっと深い。
ただ俺にはそれをどうやって慰めてあげればいいのか
全く分からなかった。
もしかしたらしげは
俺が思っている以上に強いのかも知らん。
知ってたで?
元々強かったのは。
ただやっぱり何度も俺は毎回思うんや。
さすがしげやなって。
だから今も俺らしくしげをサポートしたい。
今しかないって思ったら俺は勝負に出る。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。