神山side
やっちゃった。
熱はないけれど喉の違和感を覚え都内の大きな
病院に行くことに。
自分で車を出して大きめの病院に着いて耳鼻科に
向かう。
と向かおうと歩き出したらしたらコンビニで見慣れた
後ろ姿を発見した。
メンバーの重岡大毅がいた。
しげもどこか体調悪いんかな?
なんて思ってたけど楽しそうにコンビニで
朝飯とか歯ブラシとか買ってるから
きっと違うんやなって思って
でもなんでここにしげが居るのかがいまいち分からず
声をかけようか迷ったけど
俺の喉も朝より痛みが増してきたから直ぐに目的を
晴らすためにまず耳鼻科に向かった。
俺は単なる喉から来る風邪だと診断されて
その場で薬を貰い耳鼻科を後にした。
そのまま俺は帰ろうか迷ったけど
目の前にいる背中を見て帰らないって言う
選択肢を選んだ。
俺が名前を呼んだからか振り返ったしげの顔は
驚きで溢れていたけれど
顔には疲れが見えた。
俺の質問には答えずにそのまま歩き出すしげ。
俺は慌ててしげの腕を掴んだ。
しげは俺の腕を振り払ってまたズカズカと
歩き出した。
でも俺は諦めない。
メンバーの中で1番しげのことを知っている俺やから
今のしげの気持ちも分かると思う。
俺の言葉に先を歩くしげが立ち止まった。
後もう少しや…。
やっと納得してくれたしげは
俺の方を振り返って俺の腕を掴んで走り出した。
着いた場所はかなり離れた病室。
名前のプレートからして少し年期入ってるから
きっと最近入院してきた人ではないんやなって
思った。
優しく笑ったしげはそのまま茶色のドアを開けて
中に入って行った。
しげの言葉で俺も病室に入ったら
ベットには綺麗な顔をした可愛らしい
女性が寝ていた。
10年間あなたさんは眠り続けて
10年間しげは待っている。
……どれくらいしげは不安やったやろか。
しげがあなたさんに話しかけながら
優しく頭を撫でては腕や足をマッサージしながら
俺の紹介をしてくれた。
俺は1歩更に近づいてあなたさんの真横に行った。
優しくあなたさんの手を握ると
まだ暖かいあなたさんの手が俺の手に伝わってきた。
何も返事とか聞こえなくても
この温もりで返事が聞こえてくる。
キャスター付きの丸い椅子を移動しながら
反対側の手や足をマッサージするしげ。
優しく痛くならないようにマッサージをするしげは
本当に心の底からあなたさんのことが
好きなんだなって。
力強くそう言ったしげは
迷いなんてなく決意で溢れていた。
返事ないて無いけどしげはその分
あなたさんの方を向いて満面の笑みで見て
あなたさんの手を握っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。