重岡side
酷く底から痛い頭痛と気持ち悪さで目が覚めた。
知らない天井に見慣れない周り。
それに昨日着た服とは違う服。
勢いよく飛び起きて寝室と思われる扉を開けると
そこには…
淳太の後を追ってリビングに行けば
美味しそうな匂いが漂っていた。
箸を持って味噌汁を飲めばその味噌汁は
とても美味かった。
味噌汁以外にも体に優しいご飯も沢山あって
どれも美味しくて箸が止まらなかった。
急に何を言い出すんやって思った。
食べてる時に急に前に撮った歌の歌詞言い出すから。
俺は何も思わず箸を進めてた時急にまた
真剣なこと言い出すから思わず箸を止めてしまった。
「やばっ」って思った。
小瀧と神ちゃんだけでええやって。
知っとるの。
驚いたやろうな。
メンバーの前で女の子の名前とか言わんし
彼女いるなんて言ってないから。
「ちょっと待ってて」
それだけ言って淳太はバタバタとリビングから出て
外に出た。
何してんねんなんて軽々思ってると
淳太は片手をポケットに突っ込んだまま
俺の前に来た。
淳太はポケットから何かを取り出して
それを俺の目の前に置いた。
それを見た瞬間俺は更に驚いた。
……いや、なんて言うか安心した。
淳太が探して見つけてくれた宝物を
俺は手に取ってマジマジと見ていた。
俺の宝物のと言うのは
中学の卒業式を終えた後に制服を着たまま
ゲーセンに行ってそのままプリント写真機で
2人で撮った写真。
どんな流れで行ったかなんてもう覚えてないけど
でもこれだけは覚えとる。
俺がめっちゃ反対しとったの。
でも今となってはめっちゃ宝物。
それをずっと探してたけど
なんやこんな所にあったんやな…。
箸を置いて写真も忘れずポケットに入れて
リビングから出ようとした俺の腕を淳太が
引っ張った。
早くあなたの所に行きたい自分と
どこか淳太に寄りかかりたい自分とで揺れていた。
もしかしたらこの先
きっと俺らが予想していないような
辛い現実があるに違いない。
そんな時俺はまたあなたを信じて
歩いて行けることが出来るか分からない。
もしかしたらきっとこんな俺やから
あなたのリハビリとかも足引っ張るかも知らん。
揺る揺るな俺にそっと寄り添ってくれる淳太に
俺はこのまま肩を預けてもいいのだろうか。
俺はもう訳も分からず淳太に引っ張られながら
ソファに座って朝のニュース番組を見た。
朝の星座占い
ちょっと罰が当たったんやろ。
今日は最下位。
ちょっと横目で気にしてる自分がいて
更に訳が分からなくなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。