神山side
お昼後の仕事も無事に終わって
今はしげと並び楽屋に戻っている。
俺の隣に歩いていたしげは俺よりも歩くスピードを
上げて1人で先に楽屋に戻ってしまった。
俺も後を追って楽屋の扉を開けて中に入ろうとしたら
しげが耳にスマホを当てて顔面蒼白で突っ立ってた。
電話はもう終わったらしいけど
そのまま突っ立ってるしげに俺もゆっくり
近付いて肩に手を置いた。
するといきなりしげは膝から崩れ落ちて
血が出てまう位力強く手を床で握って
涙を流していた。
後から入ってきたメンバーも困惑していた。
俺もしげの目と合わせるように
しげの目の前に跪くとしげは俺の肩を強く握って
倒れ込んだ。
乱暴に立ち上がって近くの荷物を持って
慌ただしく楽屋から出て行ったしげを
俺らはただ見守っていた。
俺の隣にピッタリとくっついたのんちゃんを
励ますように頭を撫でると
ちょっと安心したのかのんちゃんも笑顔になった。
一旦また楽屋を後にして直ぐにスタジオに戻り
しげのことを簡単に話したら
すぐに分かってくれた。
また楽屋に戻って携帯にしげに連絡して
今日は解散となった。
でもしげからの返信は2日経っても来なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!