重岡side
朝の綺麗な朝日はもう綺麗な夕日に変わっていた。
小瀧はあのままあなたの相手をしてくれたけど
緊急な仕事が入り帰って行った。
今は寝ているあなたの髪の毛を整えて
マッサージを終えて俺も今から帰ろうかと
準備をしていた時やった。
…なんと、神ちゃんが入ってきた。
俺の隣にやって来てあなたの頭を撫でてくれたり
手を握ってくれた。
良かったけれども、これでええのかなって…。
少しだけ沈黙後に答えたから神ちゃんも気になった
らしくあなたの頭を撫でてた神ちゃんの手は
今度は俺の手を握っていた。
言葉が詰まった。
…神ちゃんは何を俺に言わせたいんや。
俺らはシンメやん。相棒やん。
そんなん分かってるって。
Jrの頃からずっと一緒やったやん。
お互いのことよく分かってるやん。
神ちゃんは俺の手を離したあと
俺の荷物を持ってあなたの頭をまた撫でてくれた。
俺はその後を追って一緒に廊下に出た。
廊下で俺らは特に何も話さず外に出て
近くのパーキングエリアに向かって
助手席に神ちゃんを座らせて
神ちゃんの家に向かった。
車の中でも特に話さなかった。
きっと神ちゃんは俺に気を使ってくれたんやと思う。
そんな沈黙の中あっという間に神ちゃんの家に着いて
車を停めて一緒に中に入った。
神ちゃんはキッチンに行って俺の分の飲み物と
神ちゃんの飲み物を用意して俺が座っている
ソファに持ってきてくれた。
神ちゃんが入れてくれた飲み物を両手で受け取り
少しだけ口に運んだ。
飲み物は少し暖かくてとても飲みやすく
美味しかった。
暖かい心はどこかあなたの優しい性格と
とても似ていた。
今まで溜まっていた俺の弱音は
シンメの家でボソッと丸裸にされた。
……俺ってこんなに弱いんやな。
ならきっとあなたのプリンスに……
そうだとええなって思いながら
両手に包まれてもう冷たくなった飲み物を
飲み干した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。