第25話

Princess 25%
3,771
2020/12/25 12:03
神山side
俺が入れた飲み物の入ったコップを丁寧に
両手で包んだままソファで寝てしまったしげ。
この感じだと家に帰ってもきっと
寝れてないんやなって…。

俺は押し入れから毛布を取りだし
ソファで気持ちよく眠っているしげに優しく
起こさないようにかけてあげた。
重岡大毅
重岡大毅
……ん〜、あなた……。
毛布を優しくかけ終えてしげの手からコップを
貰った時俺の手首をあなたさんだと勘違いして掴んだ。
神山智洋
神山智洋
……大丈夫。大丈夫やで、しげ。
コップをダイニングテーブルに置いて
俺は手首を優しく離してしげの手を優しく包み込み
毛布の中に入れてダイニングテーブルに置いた
コップを音を立てないように持って台所まで
持って行った。










台所に小さく置いてある時計を見て今の時間を
確認すると
良い時間帯やったから俺は冷蔵庫に
あるもんだけで作れる簡単な料理を作ることにした。
神山智洋
神山智洋
…おっ、ニラやん。
野菜室を漁っている時丁度買いたてのニラを発見し
俺は直ぐにニラを取り出してしげが好きなニラ料理
を作る準備をした。


好きなもので心を満たせて欲しい。
本当なら好きな人で満たされて欲しいけれど
今のしげはきっと別のもののジャンルでの
好きなものが必要やと思った。



フライパンに油を引いて刻んだ料理を入れて
美味しそうな匂いと音が家に響いていた時
ソファで寝ていたしげがのそのそと起き上がった。
神山智洋
神山智洋
おはようさん、しげ。
重岡大毅
重岡大毅
………うわ、俺。
ごめん。
神山智洋
神山智洋
大丈夫やで。
ちょっと休めたやろ?
重岡大毅
重岡大毅
……おん。おおきに。
伸びをしたしげはそのままゆっくり立ち上がって
俺の隣に来た。
神山智洋
神山智洋
どないしたん?
重岡大毅
重岡大毅
…帰るわ。ごめんな?
色々ありがとう。
そう言って玄関に向かおうとするしげを
俺は慌てて引き止めた。
神山智洋
神山智洋
料理作ってん。
しげの分もあるから食わん?
重岡大毅
重岡大毅
……いや、俺っ。
神山智洋
神山智洋
ニラ料理やで?
それに俺も知りたいねん。
あなたさんのこと。
しげの大事な人なんやから
俺も知っててええやろ?
重岡大毅
重岡大毅
…………食ったら帰る。
神山智洋
神山智洋
ふっ。はいはい。笑笑
座ってて。
しげは納得してくれたのか椅子に座ってくれた。
椅子に座ったのを確認してあと少しで出来る料理を
完成させるべく台所に向かった。












神山智洋
神山智洋
……はい、どうぞ。
重岡大毅
重岡大毅
……いただきます。
箸としげの分の料理を机に置くと
しげはちょっと笑って箸をもって食べてくれた。
神山智洋
神山智洋
味大丈夫やった?
重岡大毅
重岡大毅
……めっちゃ美味い。
神山智洋
神山智洋
なら良かった。
お茶いる?
重岡大毅
重岡大毅
…大丈夫。
俺が自分の分の料理を持ちながら席に着くと
しげのお皿にはあんまり残っていなかった。


俺も後から遅れて食べ始めると
しげはふふって笑ってニラを食べ始めた。
神山智洋
神山智洋
ホンマにニラ好きなんやな。
重岡大毅
重岡大毅
…おん。
栄養あるしそれに……。
神山智洋
神山智洋
ん?
重岡大毅
重岡大毅
…あなたの婆ちゃん家で取れた
ニラも最高やってん。
めっちゃ美味くて…。
多分そっからや。
俺がニラ好きになったん。
神山智洋
神山智洋
そんなに美味かったん?
重岡大毅
重岡大毅
めちゃめちゃ美味かったで。
新鮮やねん。
ほんで、ニラ貰うやん?
でも、めっちゃくれんねんけど
俺とかオカンとかさあんまり
ニラ料理分からんくてさ笑笑
神山智洋
神山智洋
やばいやん笑笑
重岡大毅
重岡大毅
せやろ?
あなたからニラ貰ったら絶対
毎日弁当ニラ玉やったもん笑笑
神山智洋
神山智洋
ニラ玉笑笑
久しぶりに見たかも知らん。
しげが左目の下に出来る笑窪を出しながら笑う事。
今までも何度も見た事あるけれど素やなかった。

作り笑いって感じやった。
しかもどれもが慣れていた。


でも目の前に座ってちゃんと俺の目を見ながら
懐かしい思い出に浸ってそれをちゃんと
俺に教えてくれるしげの笑顔は
本物やった。

あなたさん、
しげに笑顔を増やしてくれて
しげに笑顔を戻してくれて

ありがとう。
























重岡大毅
重岡大毅
……めっちゃ長く居てもうた。
悪ぃな笑笑
神山智洋
神山智洋
大丈夫やで。
俺も楽しかったし。
また置いでな。
重岡大毅
重岡大毅
おん。
また来るわ笑笑
料理もありがとう。
ご馳走様でした。
神山智洋
神山智洋
構わへんよ。
俺がやりたくてやったことやから笑笑
またお話聞かせてな。
気ぃつけてな。
重岡大毅
重岡大毅
…おん。ありがとう。
夕飯も食べ終わってちょっとゴロゴロしていたら
時間もいい感じになりしげは帰って行った。








窓からしげの車が見えなくなるまで見送っていると
ふと思った
神山智洋
神山智洋
……そっち、病院方面やん。




しげはきっと俺に話している間にまたあなたさんが
恋しくなったんやなって思った。
神山智洋
神山智洋
…大好きなんやな、あなたさんのこと。
あなたさんにとってしげってどんな存在何かは
分からんけれど
でもしげにとっては絶対に大切な人やから。
神山智洋
神山智洋
……両想いやったら、ええな。
どんなに眠ってても
どんなに0歳からまたやり直しって言われても
しげはあなたさんを何があっても支えるし
守り抜くと思う。
神山智洋
神山智洋
……頑張れ、しげ。
見えなくなったしげの車を思いながら
俺は空になったしげと俺のお皿を洗った。






















皿を洗い終えた俺は飼っているペットと遊んでいると
机に置いていた携帯が鳴って慌てて取りに行くと
しげから連絡が来てた。
重岡大毅
重岡大毅
📱メール
家に着きました。
今日はホンマにありがとう。
…後、衣装のこともありがとう。
色々と、ありがとう。
おやすみなさい。
2日ぶりにきたしげからの連絡は
ここだけの話ちょっと嬉しかった。

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