重岡side
無事に家に着いてすぐにソファに下ろしたら
直ぐに寝たあなた。
でも今は俺のソファに座って
テレビを見ているあなた。
ちょっとモゾモゾし始めたから
ちょっと寒いんかも。
寒そうに肩を震えていたから
俺は直ぐにあなたのために買い直した
ブランケットを引っ張り出して
直ぐにあなたの肩にかけてあげた。
首を竦めてニコニコなあなた。
確かに気持ちいい素材を選んだから
そりゃそうか。笑
ちょっとつまらなそうな顔をしたから
テレビのチャンネルを変えていた時
俺らが収録で参加した音楽番組が丁度始まった。
時間を見ればもう18時。
苦戦しそうなもの……食事。
そっか。
この時間帯はもう病院だったらご飯食べてる時間。
ちょっとお腹が空いててもおかしくないのか。
直ぐにあなた用の嚥下食を
先生から教わった通りに作り始めた。
とは言ったものの全然作れない嚥下食。
携帯とかで調べても全然違う物が出てくる。
マジで困った。
どうしよう。
ソファ見ればテレビを真剣に見ているあなた。
食べさせなあかんけど
全然作れへん。
携帯と睨めっこして
嚥下食作りにちょっと手をかけて
でもやっぱり違うなとまた携帯を見ての動作を
何回か繰り返していたら突然インターフォンが
鳴った。
突然の音にまだ怖がるあなた。
直ぐにソファに駆け寄って抱きしめて落ち着かせる。
そうすればまたテレビに夢中になる。
またテレビに夢中になった時
俺はすぐインカメを見てそして驚いた。
マネージャー
「あ、お疲れ様です!あの、メンバーさんは
居ないので!その!あの…!」
俺らのマネージャー君が外にいた。
オドオドした感じ。
絶対緊張してるんやなって。
マネージャー
「神山さんがこれしげにって頼まれて。
家を知らないから持っていけないから
渡してあげてって言われて。
……家入っても、いいですか?」
マネージャー
「でも、その、お客様いるんですよね?」
マネージャー
「分かりました!お待ちしております!」
神ちゃんから頼まれてって何やろか。
とりあえず俺は下で待っているマネージャーに
会うために上着を羽織りながら
ソファに座っているあなたの方に戻った。
目線に合うようにちょっと膝を床に着けて
話せばあなたが抱き着いてきた。
この仕草、知ってる。
あの時から何も変わってない。
「怖い」んやろ。
頭を撫でながらあなたの体を離す。
近くにあった俺の匂いが付いている
上着を持たせればちょっと表情が柔らかくなった。
直ぐに戻ってくると約束したから
思っきり走ってエントランスまで向かった。
エントランスまで行けば
ちょっと寒そうに俺を待っているマネージャー。
直ぐに駆け寄れば「お疲れ様です!」って
笑顔を向けられた。
マネージャー
「あ、これ。神山さんからです。
…なんだったっけな?……あ!嚥下食って
言ってましたよ!」
マネージャーから貰った綺麗な紙袋の中の
物を取り出せば確かに今日俺が作るはずだった
嚥下食がパックに入れられてた。
マネージャー
「…どうせ慌ててたり作れてないやろうからって。
本当は直接渡したかったらしいですが…
家を知らないってことだったので。
僕が大事に預かっていて…。」
マネージャーの手を取って
思い切り握手したったらめっちゃ困ってたけど
でもホンマにナイス!!って感じやった。
マネージャー
「いえいえ!お役に立ててよかったです!
…あ、じゃあ僕はここで!」
マネージャー
「はい!じゃあまた明後日お迎えに伺いますね!」
マネージャーが帰っていくのを最後まで
見送って直ぐに家に帰った。
……神ちゃん、ホンマに神やわ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。