神山side
あれからしげが本格的にドラマの撮影が始まって
俺もそれに伴って本格的にあなたさんの所に
行く回数が増えたこの頃。
暑くてたまらない今日も勿論
あなたさんがいる病院に行く。
今日はあなたさんに話したいことがあったから
俺は新聞紙をカバンに入れた。
あなたさんはテレビを見ていたらしく
俺が来たら直ぐにテレビを消して
笑って中に入れてくれた。
いつも通り椅子に座って
俺が持ってきたお菓子を広げながら
しばらくお話。
この時間が意外と楽しい。
俺が見せたのは持ってきた新聞紙。
見せたかったところを広げて見せる。
俺が見せたのは義足の女の子が
走り幅跳びで日本記録を出した。
その女の子が発した言葉がとても心に響いた。
だからあなたさんにも教えたかった。
女の子が発した言葉。
“私は…幸福アスリート。
神様、ありがとう。”
あなたちゃんはしばらくその新聞を眺めていた。
俺は椅子から離れてお茶を入れようとした時
急にモゾモゾしだしたあなたさん。
かと思ったら急に窓の外を見て
なかった事のようにするあなたさん。
俺はお茶を入れるのをやめて
直ぐにあなたさんのそばに駆け寄った。
でも俺の質問には首を振るあなたさん。
……ほんま、どうしたんやろ。
質問が何も浮かばなくて困っていた時。
窓の外を見ながらそう聞くあなたさん。
“あの人”
誰のことだ?
何かがおかしい……。
なんだ、この胸騒ぎは。
それからはお互い無言が続いた。
俺は急に仕事が入ったから帰ることに。
車に乗っても未だに残ってるこのモヤモヤ。
胸騒ぎ。
……もしかしたらと嫌な考えをしてしまう。
でもあの感じだときっと………。
これ以上考えたらダメだ。
とりあえず俺は仕事場に向かうことに。
どうか……
どうか……
思い過ごしであってほしい。
15世紀〜16世紀にあった「本当の話」
『スメラルドの伝説』main 重岡大毅
coming soon………
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。