第4話

第1章 4話
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2023/03/08 04:04
蘭
あれ?これ、どこかで聞いた事あるような…えぇっと……
コナン
コナン
万葉集だよ…額田王(ぬかたのおおきみ)の有名な歌でしょ?
あなた
う、うん…
貴美子
貴美子
あら坊や、よく知ってるわね…この歌は、額田王が詠んだ歌で、私の大好きな歌なの…
蘭
へぇ……あの、この歌ってどういう意味なんですか?
『茜さす 紫野行き 標野行き
野守は 見ずや 君が袖振る』の意味

天智天皇の御料地で行事をしている時、その弟である大海人皇子(おおあまのみこ)が額田王に向かって手を振る。
そして額田王は、御料地の番人に見つかったら大変だと心配している歌。
この意味を聞いた小五郎さんは
小五郎
小五郎
はて?どうして…手を振ると大変だと?
貴美子
貴美子
ああ、それは……額田王が天智天皇の妻だったからよ…
蘭
!!え?じゃああれですよね?それって不倫……
貴美子
貴美子
そうね…それに対して、大海人皇子の返した歌も残ってるわ…
『紫草(むらさき)の
にほへる妹(いも)を
憎くあらば
人妻故に
我れ恋ひめやも』
蘭
人妻ゆえって……
小五郎
小五郎
しかし…あれですな!2人の男に愛されるとは。額田王という女性は貴美子さんのように美しい女性だったんでしょうな!
貴美子
貴美子
まあ…毛利さんってば!
???
???
おい!貴美子!
???
???
貴美子先生!こちらにいらしたんですか!
紀美子さんの方に、男性と女性が駆け寄ってきた。
貴美子
貴美子
あなた…それに夏奈さん……
小五郎
小五郎
あ……あなた?
貴美子
貴美子
ええ、主人と秘書ですわ。あなた、夏奈さん…こちらは毛利小五郎さんとご家族、それにご一緒してる学生さんのあなたさん…
???
???
毛利小五郎さんって、あの名探偵の?
小五郎
小五郎
はい、その名探偵です!
天野武文
天野武文
これはこれは…私は貴美子の夫で、天野武文と申します…
次藤沙良
次藤沙良
秘書兼弟子の、次藤沙良です。よろしくお願いします…
貴美子
貴美子
弟子……ねぇ…
あなた
(?意味ありげな呟きだけど……どういう意味だろう?)
そう思い沙良さんを見てみると、沙良さんは貴美子さんを睨みつけるように見ていた。
天野武文
天野武文
それにしても貴美子、あの毛利小五郎さんとお近づきになれるとは。この奈良旅行、なかなか幸先がいいな!
貴美子
貴美子
ええ!だからぜひ、取材させていただこうと思って……
次藤沙良
次藤沙良
申し訳ありませんが、例のインタビューの関係でそんな時間は……
貴美子
貴美子
あら?もうそんな時間?
蘭
どうかしたんですか?
貴美子
貴美子
これから大阪の雑誌のインタビューの約束があるの。残念ね……
天野武文
天野武文
皆さんは今日、奈良にお泊まりなんですか?
蘭
春日野庵という旅館に予約しているんですけど……
次藤沙良
次藤沙良
えっ?
貴美子
貴美子
あら良かった!私も春日野庵に宿泊予定なのよ!
蘭
えっ、そうなんですか?
天野武文
天野武文
もしかして、あなたさんも春日野庵ですか?
あなた
あ…はい……そうなんです…
蘭
うわ、すごい!縁がありますね、私達って!
次藤沙良
次藤沙良
あの…先生…そろそろ……
貴美子
貴美子
ああそうね…じゃあ、毛利さんあとは旅館でお話伺わせてくださいね…
天野武文
天野武文
では後ほど、失礼いたします…
と、この場を去って行った。
蘭
ふふふ!面白い知り合いが出来ちゃったね!
コナン
コナン
そうだね。じゃあもう少し公園の中を観光しようか…
小五郎
小五郎
そうだな、じゃあ…
???
???
おい!本当に例の物があの娘のところに……
???
???
ええ、間違いないと思うわ…
???
???
例の話も聞かれたようだし、さっさと取り返して口封じを……
???
???
大丈夫だよ。まだ彼女は自分が何を聞いたのかも…自分が何を持っているのかも気づいていない…まだ……今は、ね
木の影で、そんな話をしている人がいるとは知らず、私は鹿と戯れて楽しんでいた──
To be continued.

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