前の話
一覧へ
次の話

第30話

.☕
150
2021/06/27 22:01





私は自分勝手な奴だ。





迷惑になるからと勝手に距離を置いて、
そうかと思えば離れないでなんて。





自分の我儘さに改めて恥ずかしくなってくる。





あーあ、濵田さんがアイドルやなかったら、
私が一般人じゃなかったら、こんな風に壁を
感じることなんてなかったのかな。





こうやって毎日同じ家に帰れてたのかな。







手を繋いで。






濵「…雪沢さん?」

『…は、はいっ、』

濵「あ、良かった、ボーッとして歩いてるから 」





ふふふっと、優しく笑う濵田さんはもう、
私でもよく分からないくらい素敵で、可愛くて





大好きで。





もう止められないのかもしれない。







『あ、家ここです、』

濵「あっ、そうなんやっ…そっか、うん、」

『あっ、あの、ありがとうございましたっ、
わざわざ家まで… 』

濵「ええのええの、気にせんといて」





濵田さんはそれでも手を離さない。




私も離さない。いや、離せない。





離したらこの魔法は解けてしまう。

離さなきゃいけないのに、






離せない。








風「…えっ、」

『あ、風雅くんおかえり』

濵「え?え、一緒のマンションなん?」

風「えっ、いや、その手、そういうことなん」

『えっ、あ、いやこれはただ…』



それぞれがそれぞれの展開に驚いているカオスな状況。





風「一緒のマンションていうか…部屋?」

濵「へ、部屋っ!?」

風「いや、そっちこそ手繋いでるってことは?」







何も言えなくて黙り込んでしまう私たち。







この空気を破ったのは濵田さん。



濵「な、なんでもないで ホンマに!」








最後に「…まだ、」って言ったの私、聞こえてたんだから。





期待していいですか。




このまま恋していていいですか。





好きでいさせてください。





大好きです。






プリ小説オーディオドラマ