岩本 side
新曲の振り確認の休憩の時
普段は滅多に怒らない累夏の怒鳴り声が
部屋中に響いた
矛先は康二と佐久間とラウールに向いていて
康二とラウールは累夏に怒られたことがないから
何が起きたのかわかってなくて
康二に関しては少し泣きそうになっている
声を荒らげて息切れしている累夏に
ふっかと俺が声をかけ
泣いてしまった康二とラウールのもとに
目黒と舘さんと阿部が駆けつけ
翔太は怒った累夏が少し怖いのか
どちらにも近づこうとせず立ち尽くしている
累夏は我に返ったようにハッとして
自分がしたことを思い返して
慌てるように何かを訂正しようとする
俺とふっかは累夏を落ち着かせて
何があったのか聞き出そうとするが
泣いている康二やラウールを見て
自責にかられたのか呼吸が荒くなっていった
ちょっとした揉め事と言い合いは今までいっぱいあったけど
メンバーが泣き出すほどの喧嘩は今までなくて
ふっかも少し混乱していた
舘さんの言葉に甘えて
俺は累夏を外に連れていって
ふっかたちに3人を任せた
累夏をベンチに座らせて
すぐ近くの自販機で買ったペットボトルの水を渡す
累夏は受け取った水をすぐには飲まずに
持ったまま下を向いて静かに啜り泣く
ゆっくり
言葉に詰まりながらも
何があったかを正確に教えてくれる
泣かせてしまったことに責任を感じ
累夏は静かに泣き出してしまった
俺は累夏の肩をさすりながら
慰めるように話し始めた
言葉足らずで誤解を生みやすく
友好関係が上手く行きにくかった累夏
でも累夏が他人を怒る時は
他人を思っての行動
マイナスな行動をした人には
今後の人生に損をしてほしくないから
危ないことをしている人には
取り返しのつかないことになって欲しくないから
全て言葉にしないだけで
累夏の全ての行動には思いやりが詰まってる
優しい累夏のいい所
ずっと怒ってるわけじゃない
なにかに不満がある訳でもない
ただ単に言葉にするのが苦手なだけ
3人『うぐ……はい……』












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。