そのころ俺達は、北山を救うべく敵陣へ乗り込もうとしていた。
向かうは俺とワタ、二階堂に五関それと郁人の5人
が、何故だかそこは人っ子一人いなく俺らは何だか気が抜けしてしまい。
そのとき反対側から、2つの人影が「気をつけろ」そう構えたら。
(えっ、声を掛けてきた見知らぬ男…ワタの知り合い)
(ふ~ん、そうなんだ)
(へぇ~凄いやつなんだな)
(中等部の校舎じゃん!?)
「だな、ふっ」それを聞き、ちょっとホッとする。
(なるほど、こういう奴らもいるんだ)
それから暫く歩くと何やら騒いでいる連中が向かって来て。
(あはっ、捕獲されちゃったんだ御愁傷様~)
が、それを聞いた途端に俺は思わず宮田とか呼ばれているやつの胸ぐらを掴み食らいついていて。
俺達は北山と一緒にいたという千賀健永に話を聞いた。
(でも、まだ誰にも捕まっていないんだな)
(頼む、このまま逃げ切ってくれ)
どさくさに紛れ健永が俺の隣に来て言った次の瞬間に宮田が、掴んでいた腕をグイッと引っ張り。
(駄々っ子か?お前、ふっ)
(あははっ、お茶目なやつ)
それから、北山とはぐれたという場所まで来てみたんだけれど。
(判断を間違えると反って離れてしまう可能性が高い
ここは慎重にいかないと)
そこへ今度は見たことがある二人連れがやって来て「あいつは確か、あのときにすれ違った」
そう言うとチラッと、こっちを見て。
(あいつ、俺のことを知っているんだ!?)
するとワタが、タマってやつに声をかけ。
(えっ、どういうつもり!?ワタ)
(なるほど、だからタマっていうのか)
と、今度は突然そんなことを言い。
(あぁ~ははっ、なんか分かる気がする)
(思った通り俺と好みも一緒らしい)
(はっ?渉、大丈夫か頭)
しかし何処か寂しげな瞳が気に掛かる、その場を
後にしながらも。
・北山side
これは偶然というより奇跡だったんだ、まさか先輩が味方だったなんて。
必死で逃げ惑う中、気がつけば一緒にいた千賀や
トッツーともはぐれてしまい。
思い付きで向かった図書室、そこで最強の助っ人に出会えるだなんて。
(たったそれだけの理由で、俺を助けてくれたなんて感動もんだ)
そこは部室みたいな所で「なんだこれ舞台の小道具か何かか?」よく見ると衣装やカツラ、背景なんかもあり。
そのとき誰かの声がして、ギクッと身体が強張る「大丈夫だよ」って亀梨先輩、俺の肩に手を置き。
(じゃなに?中学生にしては、声が大人っぽいし…)「先生ですか」そう聞くと。
振り返ると結構なイケメンさんが二人、立っていて
「つうか、この人達はいったい?」そう疑問に思っていると。
亀梨先輩は去って行ってしまい「えっ、ちょ待って置いてかないで!せんぱ~い」
内心は焦りながらも笑って誤魔化す。
(何が可笑しいんだ俺、変なこと言った?)
(ヤバい、なんか調子が狂う、この人に可愛いと言われても俺、嫌じゃないし)
そう聞かれ藤ヶ谷の顔が脳裏に浮かんだ…
(ハッ、違うって彼奴のことなんか意識してね、俺は、のっ…ノーマルなんだからよ)
それから、二人に連れられ向かった先には。
(だぁ~だから俺は)
(中等部のやつらか)
(えっ、まだいるの!?)
すると、わいわいガヤガヤ賑やかな連中がやって
来て佐久間に宮館、阿部に岩本、それと深澤とか
いう奴らが演劇部の後輩なんだと滝沢先輩は言った。
ニヤッと意味深に笑う先輩…(嫌な予感がする)
数分後━
俺は女子高生の格好をさせられ、ご丁寧にカツラ
まで被り。
(誉められても、ぜ~んぜん嬉しくない)
複雑な心境のまま、歩き始め「あっ、あいつ」すれ違ったのはタマって生徒、ジーっと俺のことを見つめ…(なに?なんなんで)
それと金髪男も…
いきなり声をかけられ全員の足がピタッと止まる。
・玉森side
(怪しい絶対に変だ中学生の中に大人が二人)
(どうして固まって歩いているんだろ)
(この二人が!?)
「でも」っと、中等部の連中へ目を向けると。
そう言われ「確かに、でもなんか上手く言いくるめられているような気がするな」そう思っているうち可笑しな集団は去って行き入れ替わりに。
(あっ、生徒会長と副会長、それに)
(ハッ、まさか!?)
気がついたときには、既に後ろ姿は見えなくなっていて。
思わず追いかけようとした会長を「やめとき」っと副会長が止めに入る。
滝沢秀明、今井翼
会長と副会長でありながら全校生徒公認のラブラブなカップルだったと聞く自分たちがそうだったからか二人が生徒会を担っていた時だけ歓迎会や、その他の行事のとき相手の気持ちを無視しての気持ちの押しつけや強引なやり方は一切禁止していたらしい
(ふ~ん、まっ学校生活は始まったばかり機会はいくらでもある奪われたら奪い返せばいいだけの事)
こうして新入生歓迎会は終わりを告げる…
(待っていろよ必ず捕まえてやるから、絶対に諦めやしない絶対)
・北山side
(ゾクッ、うわっ…)
いきなり背中に悪寒が走り抜け同時に嫌な予感がし俺は身体を震わす「あいつだ、あいつが来た」
その声に顔を上げると案の定そこには藤ケ谷と横尾さんの姿が。
思わず声を上げたとたん!
(げっ、こんな姿みられたくはない)
どんどん近づいてくる距離、焦る俺、冷や汗がタラタラと額に流れ俯き加減で歩いていたら。
(うわっ、また怪しい笑みを浮かべロクなことを考えていね、きっと)
「ちょっと待ってくれおい」その言葉に突然ガードを崩す演劇部の連中。
当然のごとく俺の姿は露わとなり、それを見た横尾さんが。
慌てて滝沢先輩の後ろへと顔を伏せ隠れる。
怒鳴る藤ケ谷に「こういうことだよ」ふっと先輩は笑みを浮かべ俺の身体を引き寄せると腰に手を回し
(なんでこうなる?)
「今のうちに」ダッと、その場から逃亡を謀り。
ダダダダダッ、ダダダダダッ、追いかけっこは続く何処までも。
(嫌だ、お前にだけは絶対に捕まらない)
(それでも)
そして逃げ込んだ校舎の裏にある納屋の中。
グイッと掴まれた腕が痛い。
が、そのまま強く引き寄せられ抱きしめられ。
クイッと、いきなり顎を持ち上げられてチュッと
重なった唇。
振り解こうとした瞬間にニュルっと咥内へ舌が侵入し「だから、やめろってば」
トックン、トックン、藤ヶ谷の心臓の音が聞こえる。
何度も何回もキスをされ自分の心臓も高鳴りを増し
「どうして?なんで俺は、こんなにもドキドキしているんで?」気がつけばその背中へ手を回し、しがみつき。(あったけ、お前…めっちゃ‥温か…い)
やっと唇が解放されたときには見つめる瞳に全身の血が逆流したかの如くカァーッと熱くなるのを感じた。
(あっ、横尾さん…だ)
差し出された手を握りしめ外へと出る。
"いってみれば合コンみたいなものなんだから"
(さっきのあれ一体なんだったんだろう)
それから何故だか藤ヶ谷は機嫌が良くて、暫くの間それは続き俺の頭の中では益々ハテナが飛びかう事になる。
そして今日も1日が過ぎていく賑やかな連中に囲まれながら…