第8話

🥃 7
9,202
2022/09/14 09:03
太宰治
ほら、着いたよ。
私は太宰さんと気まずい時間を過ごしていると、
何時の間にか訓練場に着いていた。


そして太宰さんは私の後ろに回り、
私の背中を思い切り足で蹴って
訓練場へと一歩押しやった。
あなた
あの太宰さん…訓練相手って誰なんですか?

私は蹴られても気にせず、
こればかりはと太宰さんにしつこく聞いた。


もし仮に相手が知らない人じゃなくても、
最近仲良くなったばかりの子だったりすると
とても気まずいからだ。

縦令たとえ訓練だとしても殴り合いをするのは
流石に気が引ける。
あなた
あの、人によっては私帰りますから…
太宰治
君に拒否権なんてあると思うかい……?

太宰さんは私の話に被せるように言い、
何故か溜息をつき、
呆れたような顔をして、此方を見ていた。
なんだその反応??
太宰治
はぁ……君の相手は本当に疲れるよ……
まぁ、いいや…… 。

太宰さんは少しの間、頭を抱えてから
先に訓練場に入って行き、
私に中に入るよう手招きしてきた。


…出来れば頭を抱えたりと
そんなに深刻に捉えないで欲しいかったな… 。

私はそんな複雑な気持ちを抱き、
渋々訓練場に入った。



そして太宰さんは、
私が完全に訓練場の中に入ったと分かった途端、
さりげなく外に出て行き、

ガチャン!!と、
重い扉を力強く閉めてしまった。
あなた
え?ちょっと太宰さん!!
太宰治
出たら撃つ。

私は吃驚して太宰さんを呼ぶも、
太宰さんはそれだけ言い放つと
黙ってしまった。


そして太宰さんのだと思われる足音が
段々遠のいて行った。
多分朝ご飯を食べに行ったのだろう。
あなた
はぁぁぁ……

閑散とした訓練場の中で、一人取り残された私は
もう苛立ちより疲れが勝ってしまい、
外には出ず、そのままぐったりと地面に座り込んだ。
あなた
あの上司…本当担当から外して貰おうかな……
てか誰なの相手って……
真逆本当に知らない人じゃないでしょうね……

そうブツブツと独り言を言っていると、
奥の方から見知った声が聞こえてきた。
中原中也
大丈夫だ、知らねぇ奴ではねぇよ。
あなた
中也さん……!?
吃驚して振り返ると、
太宰さんの同僚である中也さんが
気だるそうに頭を掻きながら、此方へ歩いてきた。


相手…中也さんか……
中也さんは正直言って
力だけでは太宰さんの何倍も強い。


そしてそんなに面識がある訳でもないので、
性格があまり分からない。


だが全体的に気性が荒いので
下手したら半殺しにされかねないだろう。


もう本当なんて事をしてくれてんのかなあの上司は。
あなた
…だ、太宰さぁぁぁんんん!!!!

私はやっぱり疲れよりも苛立ちが勝り、
太宰さんにキレた。

そしてもうここには居ないが、
腹立つ上司に今出来る精一杯の怒りを送った。
太宰治
っくしゅっ……
太宰治
ズビッ…はぁ……なんか寒気がする……
風邪かな……

プリ小説オーディオドラマ