放課後
化学準備室の扉を開けると
と、手を差し伸べる駿くんがいた
その姿がまるで王子様みたいで
私はその手を握り、そしてゆっくりと扉を閉めた
そう言いながら、私の髪にキスをする駿くんは
日差しに当てられ、耽美だった
駿くんの方へ振り向くと、
触れるだけのキスをした
そして駿くんは微笑んで
そう言った
私がきつく抱きしめると、
駿くんはもっと抱きしめてくれる
そして駿くんから体を離れさせられると、
すぐにキスをしてきた
さっきとは違う
息継ぎなんてできない
舌が絡まって、息苦しいとまで感じるくらいのキス
唇が離れると
そう言うと、ちゅっと唇が触れた
時間を見ると16時25分
さっきまで微笑んでいた駿くんとは別人の、
意地悪な顔をしてる駿くんでした
そして結局ほんとに19時まで帰らせて貰えませんでした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!