第2話

第2話 始まりの森
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2020/10/27 23:01
紙を開くと『C』の文字
れん
ぼくはしゅーたの声が好きです
止まらないドキドキ、最後の椅子
35位……
………………

…………

……
しゅうた
うわあぁぁ、……あーまたか
 ベッドから汗だくで飛び起きる銀髪の青年『浦野しゅうた』。しばらく両手で顔を覆ってから、前髪をガシガシと掻いた。
しゅうた
もう大丈夫だと思ってたんだけどなぁ。まだまだだな
窓を開け空気を吸い込む。2月のまだ冷たい空気が部屋の中に入り込む。
しゅうた
今日も張り切っていきますかー
外に向かって大きく伸びをして、窓を閉めようとする。となにかの違和感を感じる。
しゅうた
なんか、変?行ってみるかな?
 このモヤモヤも修練したら消えるだろう。そう思い、身支度をして森へ出掛けた。

 その少し後にあの3人がやってきた。
ふみや
いないって、森に行ったみたい
こうすけ
マジかー、どうする?
かつなり
でも、最近は森のモンスターが異常行動起こしてるとかって聞いてんけど
こうすけ
あー、なんかで聞いた気がするわ
ふみや
じゃあ、ますます行くしかないね
こうすけ
なんで、そうなんだよ!
ふみや
楽しそうじゃん。それに僕たちパーティー組むんでしょ?
かつなり
確かに、こんなとこで怯んでられへんな
こうすけ
言うねぇ
ふみや
じゃ決定
かつなり
ほな、いこかぁ
 そうして3人も森へ向かった。
かつなり
でもさぁ、森って言ってもどこに行ったかわからんやん?
ふみや
んー、確かに、そうかも
こうすけ
そんなに遠くには行ってないんじゃね?
ふみや
……本田くん、囲まれてない?
こうすけ
やっぱり?じゃ、やってやるか
ふみや
かつくんも行けるよね?
かつなり
もちろん、雑魚ばっかやけど数が多い気がするわ、気ぃ引き締めて行こな
こうすけ
オッケー
 3人は背中合わせ立ち、周りの茂みを睨む。周りの茂みが無数に揺れる。
こうすけ
背中は任せてっからな
背中に背負っていた大剣を構える。
ふみや
お互いね
双剣を構える。
かつなり
とりあえず速度だけ…キツくなったらいってな
カツの手から青い光が出て2人の行動速度を上げた。そして、そのまま攻撃体制にはいる。
こうすけ
来る!
 そう言うと同時にゴブリンが周りから飛び出してきた。各々目の前の敵と戦う。大剣でなぎはらい、双剣を振り回す様は躍りを見ているようだった。
かつなり
やっぱすげーわ、あいつら
 そう言って微笑むと、ゴブリンに拳を数発打ち込み吹っ飛ばす。
 順調に倒していくもなかなか減らないゴブリン。
こうすけ
マジでおかしくね?この数
ふみや
沸き方が異常すぎる
かつなり
これが聞いてた異常行動?
こうすけ
増えるんだったら行動じゃねーよ。
ふみや
確かに、でも逃げられるようには思えないし無駄口叩いてないで叩く!
こうすけ
わーたわーた、任せとけ
しかし、倒せども倒せども減るようすはない
しゅうた
ふみや、伏せて
ふみや
えっ?
ふみやが伏せるとゴブリンが襲いかかろうとする。も、一瞬で炎に焼き付くされ消える。
しゅうた
なーにやってんだよ、こんなとこで
木の上からしゅうたが降りてくる。
ふみや
お前を探してたんだよ
しゅうた
俺?まぁいいや、話しはあと。このゴブリンは炎系の魔法しか攻撃通らないみたいだから。こーすけくんも使えるでしょ?
こうすけ
おう、もちろん。弱点がわかればこっちのもんだわ
 こうすけは大剣をぶん回し炎を発生させる。周りのゴブリンは炎を受け消えていく。
しゅうた
やるねぇー
ふみや
あ、しゅーた後ろ!
 しゅうたの後ろからゴブリンが襲いかかろうとしたとき、炎を纏った拳がゴブリンを吹っ飛ばす。
かつなり
しゅうた、大丈夫?
しゅうた
え、かつくん?なんで?
こうすけ
話はあとー、とりあえず町に戻るべ
かつなり
せやな、さすがに疲れたわ
しゅうた
そうかなぁ?俺は久々にみんなと戦って楽しかったけどなぁ
ふみや
途中から来たくせに
しゅうた
そんなこと言って、俺がいなかったらヤバかったじゃん
こうすけ
そーでもないかなー
しゅうた
またまたー
ふみや
で、森で何してたの?
しゅうた
ん?俺?
こうすけ
他に誰がいるんだよ
しゅうた
ははは、いやなんかわかんないけど変な感じしたんだよねー。あと日頃の修練ですよ。魔法は打っておかないと出にくくなるからね。
ふみや
さすがですねぇー。でも、しゅーたは来ると思ってたよ。
しゅうた
えっ、ちょっ、おまっ
かつなり
えっ、照れてんの?
しゅうた
いやいや、今のタイミングはないだろ
こうすけ
いや、ベストじゃね?
しゅうた
もー、で、なんの用だったんですかぁ
ふみや
あー、言ってなかったね
しゅうた
そーなのよ、かつくんもいるし
かつなり
やっぱ俺おると変やんなぁ
しゅうた
いやいや、そういう意味じゃなくて
こうすけ
しゅーた
しゅうた
ん?
こうすけ
俺はお前とパーティー組みたい。一緒に旅したいって思ってる
しゅうた
えっ、俺?
こうすけ
お前を誘うからにはまずはメジャードラゴン倒しに行くから
ふみや
マイナーリザードンはすっ飛ばすんだって
かつなり
いきなりメジャードラゴンって
こうすけ
俺らならいけるよ
ふみや
まぁ、それはぼくも同意
かつなり
今の感じやったらマジで行けそうやけど
こうすけ
な、しゅうた
 口を両手で押さえビックリしたまま固まっているしゅうたに3人が振り返る。
ふみや
一度は挫折した落ちこぼれだけどさ
かつなり
俺らだったらうまく行く気がするねんなぁ
こうすけ
行こうぜ、お前の目指す世界へ
しゅうた
………俺の目指す世界は険しいですよ?
こうすけ
もちろん
しゅうた
……何度も行けなかった場所ですよ?
ふみや
僕たちだったら行けるかもよ?
しゅうた
…足引っ張るかもしれないし
かつなり
そんなん俺の方が引っ張るわ
こうすけ
で、どうしたい?
しゅうた
そんなの決まってんだろ!
 こうして4人目の時計も動き出した。町外れの夕焼け空に4人の笑い声が響いた。

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