正直、魔力は自信なかった。精霊が手伝ってくれることはあっても、どうしても火属性しか習得できなかったし、それがコンプレックスでもあった。
ガシマさんの魔法指導はほんと丁寧で、火属性が強いのはそれはそれで大きな力だと教えてくれた。
でも、どこかそれでも足りないと感じていたけど、俺の迷いはすぐにふみやに見破られていた。
ギルドの魔法練習室。ここは魔法をいくら打ち込んでも壊れない結界が張ってある。
的に向かって青い炎を打ち込む。しかし、的の中央から外れている。
次にふみやが打ち込んだ青い炎は的の中心を射抜いた。
こうすけが手から放った炎は竜の形となり的の中心に向かって飛んでいった。
ふみやは再び魔法を打つ。的の中心を的確に狙えるようになっていた。
ふみやはこうすけの腕を掴むと精神統一した。
そして…
真っ白な空間に飛び込んだ。
4人は位置につき型合わせをする。先程までずっと合わせていたかつなりとしゅうたは汗だくだったが動きは機敏でしっかりとしていた。4人で合わせたのが初めてとは思えないほどしっかりとぴったりと合っていた。
笑いながら型を合わせ始めた。何度も同じ動きをしながら、時には真面目に時には笑ってやり続けた。迷っていたこうすけも迷う暇がないほど笑っていた。
ふみやはあの時、悩むこうすけを見守るしか出来なかったことを少しだけ後悔していた。今、悩むこうすけを見てなにか出来たことが少しだけ嬉しくて、あの時よりずっとずっと仲間になれてると自信を持ったのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。