第3話

第3話 インフィニティ Blueside
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2020/10/28 11:07
 真っ白い空間で一心不乱に剣を振るう青髪の青年…ふみやの姿があった。
 何かを拭うように…
何かを振りきるように…

 れんくん、ごめんなさい………

カキーンっ

 ふみやの振るった剣が何者かに止められ、乾いた金属音が響く。
ふみや
えっ?
しゅうた
そんなむちゃくちゃやっちゃって
 細身の長剣にふみやの剣が受け止められていた。
ふみや
しゅーた…
しゅうた
いや、わかるよ、わかる。もうあいつらメジャードラゴン倒したって言うもんなぁ。もうむちゃくちゃやりたい気持ちもわかる。
ふみや
………
しゅうた
でもさぁ、もう一人じゃないんだから、お互い高めていかないかって話
 しゅうたはゆっくりと剣を下ろしニッコリと微笑む。
しゅうた
付き合うよ、やろう
 しゅうたは距離を取り剣を構え直すと、真剣な目付きになる。ふみやも剣を構える。
ふみや
手加減しないよ
しゅうた
もちろん、俺だって手ぇ抜かないから
2人の剣が交わり、辺りに金属の乾いた音が響く。
しゅうた
ふみやもやっぱ、まだ、引きずってる?
ふみや
いや、引きずってない
しゅうた
ホントに?
ふみや
嘘でもホントにする
 剣を交合わせながら会話をする2人。
ふみや
でも、誰だって引きずるでしょ
しゅうた
経験した人じゃないとわからない、よな?
ふみや
だから、だから
カキィーン

しゅうたの長剣が吹っ飛ばされる。
ふみや
僕たちは絶対に負けない
しゅうた
もちろん
 2人の肩が同時に震え、そして、笑いだす。
ふみや
ありがとう、ちょっと落ち着いた
しゅうた
全部俺のお陰ですからね
ふみや
よく気付いたね
しゅうた
一応まぁまぁ長く知ってるからねぇ
ふみや
確かに
しゅうた
あいつらの話を聞いたら、焦るって訳じゃないけど、なんかしたくなるかなぁって
ふみや
うん
しゅうた
でも、カッコ良かったよなー、インフィニティ
ふみや
あんなかっこいい武器手に入れたいよね
しゅうた
俺たちに作ってくれるとこあっかなぁ?
ふみや
大丈夫、本田くんなら
しゅうた
いやいや、そこは俺たちって言うとこでしょうが
こうすけ
あー、やっぱここだったか
 2人の目の前にこうすけが現れる。
しゅうた
あ、見つかっちゃった?
こうすけ
まー、お前らの考えることなら、薄々?
 3人がいる場所は真っ白な空間。そこは魔力で作られた仮想空間で、滞在するために魔力を消費し攻撃力と魔力を同時に高めることの出来る空間である。
 ひとりで作ることも出来るが空間を安定させるためには複数人で魔力を分散させた方が効率がよい。
 ひとりで空間を空間を作った場合でもフォローとサーチを使うことで共有することが出来る。
しゅうた
だって、ふみやが一人でガツガツやってたからさ、2人でいた方が楽だし?
かつなり
でも、張り切りすぎやで
 真っ白い空間が一瞬暖色に染まり、もとに戻る。
 そこへかつなりが姿を表す。
しゅうた
かつくん
かつなり
回復したからまだ行けんな?
ふみや
もちろん
こうすけ
負けてられないからな
しゅうた
みんな考えてることは一緒ってことね
こうすけ
当たり前だろ、いや、当たり前じゃないか?
かつなり
まぁ、必然ではあるかもなぁ。言ってたやん、志が一緒って
ふみや
確かに。ここで動いちゃうのが僕らって感じがするね
しゅうた
メジャードラゴンなんて序盤の中ボスですよ?そんなん先越されたからって焦りすぎはダメですよ?
こうすけ
焦るって訳じゃないけどさ、なんか俺はワクワクしたよ。違う道だけど、一緒に戦ってる感じがするだろ
 ふみやが一瞬、目を見開き、そして、フワッと微笑む。
ふみや
一緒に戦ってる、か
こうすけ
俺らもすごいの見せてやろうぜ。俺らだったら、あいつら驚かせる活躍出来るはず
しゅうた
もちろん!メジャードラゴン倒したぐらいじゃ俺の目指す世界はたどり着きませんからね
かつなり
そういうこと、もっと強くならなな
 4人は修練を再開する。そこには先ほどまで険しい表情をしたふみやは消え、満足と自信に満ち溢れた表情のふみやがいた。

 その数日後、ギルドから4人への連絡が入った。
 4人パーティの結成許可の知らせだった。

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