第5話

第5話 決意の炎
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2020/10/28 14:20
 4人は森の中をひたすら歩いていた。
しゅうた
で、鉱山の町まではあとどのくらいなの?あーまたきた
しゅうたは火の魔法を打ちながら愚痴っていた。
こうすけ
まだまだ先だったと思うけど。大体ドラゴンブレイク出来る鉱石が簡単に手に入るはずないだろ
しゅうた
わかるけど、火ゴブ沸きすぎだから
 後ろから出てきたゴブリンはかつなりが炎の拳で対応していた。
かつなり
確かに対した魔力ではないにしろ、じわじわ削られんのはきついなぁ
 ギルドに入っての最初のミッションは武器を作る鉱石を入手すること。そのために4人は鉱山に向かっていた。鉱山に向かうためには、あの炎しか効かないゴブリンの沸く森を通るしかなかった。
ふみや
この森おかしくない?
しゅうた
何が?
ふみや
火ゴブはいるんだけど、他の生き物が全くいないんだよ
こうすけ
確かに、見かけてないかもな
しゅうた
呼んでみる?
かつなり
しゅうたそんなこと出来んの?
しゅうた
なんか出来ちゃうんですよねぇ
 しゅうたはニッコリ笑って息を吸い込み、唄いはじめた。きれいなハイトーンボイスが辺りに響いた。
 そして周りから大量の火ゴブリンが飛び出してくる。
こうすけ
だろうな
ふみや
そう思ってた
 こうすけの大剣が周りのゴブリンを一掃する炎を放つ。
しゅうた
おかしいなぁ、いつもだったら色んな動物出てくるのに
ふみや
ねぇねぇ、じゃあ、今のゴブリンが森の動物だとしたら?
しゅうた
なに怖いこと言ってんだよ
かつなり
それって
ふみや
うすうすはおかしいと思ってたけどさ、モンスターの異常行動ってモンスターになってしまったから普通の行動が異常に写ったんじゃないの?
しゅうた
それってさ、町に出てきた異常行動するモンスターって?今まで倒してきたモンスターって?
かつなり
しゅうた落ち着け、大丈夫やから
こうすけ
その説が正しいかはまだわかんないしな
 しゅうたは力なく頷くも気付いていた。自分の感じる違和感に。毎朝聞こえていた『鳥の鳴き声』が最近全く聞いていなかったことに。
 ふみやも俯きながらゆっくりと歩き出した。
ふみや
どうであったとしても、僕たちは戦うしかないんだけど
 ふみやの持つ双剣に青い炎が纏う。
ふみや
僕はこんな世界を救う力がほしい
 目の前に出てきたゴブリンを叩き切った。 
しゅうた
ふみや……
ふみや
この世界を少しでも笑顔にしたい
こうすけ
そーだな、佐野の言う通りだわ
かつなり
ほんまやな、俺も笑顔にしたいわ
しゅうた
そーだったね、俺たちらしく世界を幸せにするんだった
こうすけ
じゃあこんなとこでちんたらやってる場合じゃないな
4人は顔を見合せ頷く。
こうすけ
行くぞ!
 4人は駆け出した。こんな世界だけど、こんな世界だから自分達の出来る事をしたい。少しでも笑顔を増やしたい。
 4人の決意がさらに深まっていた。

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