第8話
グラブとスパイクが…
茉子は重い足を引きずりながら家を出た。
そう決意すると自転車にまたがり学校へ向かった。
学校に着き自転車を停めるとまっすぐ部室の方へ向かった。すると何人かの部員達が何やら揉めあっているのが見えた。
そこには侑と晃太朗の姿もある。
侑と晃太朗のふたりと他の部員達で揉めているようだ。
晃太朗が茉子を止める。
晃太朗の後ろを覗こうとし体を上下左右に動かす。後ろが見えぬよう晃太朗がそれに合わせて動く。だが、間から後ろに落ちているものが見えてしまった…
そこにはボロボロに切り刻まれたグラブとスパイクがあった。
部員のひとりがそう言いながら笑う。
茉子はグラブとスパイクを手に取り目に涙を溜めた。
茉子は大粒の涙をこぼしながらその場から飛び退くように走りさって行った。
晃太朗がよびとめる声を茉子には聞こえていなかった。
走っている最中にすれ違った男が不思議そうに茉子を見ていた。