前の話
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「樹くん、また100点。」
あぁ、そうだ。僕はいつも満点。
「樹にはやっぱ叶わんなー。」
そうだよ、僕に勝てる奴なんていない。
「樹くん、好きです。」
そんな平ペったい言葉、聞きあきたよ。
僕は、特別。
うまれながら、運が良かった、選ばれし人間なのだ。僕が持つ能力、「超能力」。
それは、この世界にきっと僕しかもっていない力なのだ。
ほら来た。
これは、僕に任されるだろう。
だって、僕は信頼されている。
いや、能力で信頼を勝ち取っているのだから。
はいって、手を挙げかけた僕をさえぎったのは君だった。
は?何言ってんだ、こいつ…
源 凜華、今日、転校してきた女子だった。
ここは、超能力で…。僕に…?
いや、大丈夫。僕は、いつだって、みんなに好かれている。凜華という女子のかなかの僕を下げるわけにはいかない。だって、僕は心が広いのだから。
譲るよ…。
みんなが、僕をチラチラ見ていた。
それでも、僕は凜華に譲るよ。
誰一人に恨みはかわない。
まぁ、この超能力を使えば、
なんだってできるのだから。
この後、なんで、こんなこと言ってしまったのだろうって、僕は後悔することになるんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。