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第14話

二月十五日🌇
463
2018/02/06 14:12
ヒロ
ごめんね。連れ回しちゃって

見違えるほど綺麗になった彼女と、最後に訪れたのは、海を一望できる丘に造られた公園だ。
あなた

まさか…髪まで切られるなんて、
思いませんでしたけど


嬉しそうにそう言うあなたは、ベンチに腰をかけ、波の音がする方へ目を向けている。
ヒロ
ねぇ…もう一回、告白してみたら?

美容院オリジナルのシャンプーの香りが、ふわりと漂い 俺の胸をドキリとさせる。

彼女を応援する気持ちは、いつの間にか好意へと変わっていた。
あなた

瀬川さんのことは、もういいんです

ヒロ
…え?
あなた

さっき、メールが来て…


『昨日はごめん。あの言葉が本当だったとしたら、俺 本当に最低なことしたと思う。でも、やっぱりあなたのことは部下としか思えない。それに、今 付き合ってる人がいるんだ。だから…ごめん。』


差し出されたスマホの画面には、“彼”からの言葉が書き連ねられている。

彼女にとっては、たいそうショックなものだっただろう。

ヒロ
…あなたちゃん
あなた

このメール見たとき、自分でも驚くほど ショックを受けなかったんです

あなた

昨日まで、あんなに好きだったのに…不思議ですよね



はぁ、と息を吐いた彼女は、意を決したかのように立ち上がり、こちらを振り向く。
あなた

それも…ヒロがいてくれたから


風が吹き、膨らんだスカート。
鞄の中から取り出されたのは、昨日のとは違う チョコレートボックス。
あなた

受け取ってもらえますか?


シックなラッピングが施された箱を受け取り、俺は「もちろん」と呟いた。


彼女の体を引き寄せ、抱きしめる。




__永遠に解けない、甘い魔法をかけて。






【甘い魔法をかけて】

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