第13話

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2018/02/06 11:10
ヒロ
うん。…似合う

そう素直な気持ちを伝えると、彼女は少し困ったような顔をして 俯いた。

どうしてそんなにも自分に自信が持てないでいるのか、俺には分からない。
それでも、背中を押してあげたい。純粋に人を好きになった彼女の背中を。
ヒロ
あとは…これ

彼女の肩に白色のコートをかけ、足元にはスエード素材のパンプスを置く。
彼女が靴下を脱ぎ パンプスを履いているあいだに、そばにいた店員に着て帰りたいのだという旨を伝え、支払いを済ませた。
ヒロ
…かわいいじゃん

店員がタグを切っているのを、あなたは不思議そうに眺めていたが、状況を悟ったのか 慌てて鞄に手を伸ばした。
あなた

あ、あの…お金…

ヒロ
いいから。俺からのプレゼントだと思って受け取って
あなた

でも…

ヒロ
ほら、まだ行くところあるんだから…付き合ってよね

彼女が着ていた服が入っている紙袋を受け取り、店を出る。

あなたは慣れないヒールを履いて 少し歩きにくそうだが、その表情はどこか嬉しさを滲ませていた。

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