倒れるように眠りにつき、目が覚めたのは約束の時間の一時間前のことだった。
辛うじて眠る前に化粧は落としたが、お風呂を入る気力は残っていなかった。
シャワー浴びて、化粧して、服決めて…正直 一時間ではどうにもならない。
慌ててスマホに手を伸ばしたが、連絡先を交換した覚えはない。
血の気が引いていくのを感じながら、急いで風呂場へと向かった。
自宅から待ち合わせ場所まで約十五分。
実質 準備にかけられるのは四十五分だけだ。
一体 誰がそんな短い時間で支度ができるというのだろう。
鏡に映った自分の姿を見て 驚く。
これじゃ相手にされないのも理解できるなと思い、思わず自嘲気味に笑ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。