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第2話

56
2020/05/28 08:52
 をまわしてゆく少年しょうねん姿すがたは、やがてしろみちほうえてしまいました。けれど、太郎たろうはいつまでもって、その行方ゆくえ見守みまもっていました。

 太郎たろうは、「だれだろう。」と、その少年しょうねんのことをかんがえました。いつこのむらしてきたのだろう? それともとおまちほうから、あそびにきたのだろうかとおもいました。

 くる午後こご太郎たろうはまたはたけなかてみました。すると、ちょうど昨日きのうおな時刻じこくに、おとこえてきました。太郎たろうはかなたの往来おうらいますと、少年しょうねんが二つのをまわして、はしってきました。その金色きんいろかがやいてえました。少年しょうねんはその往来おうらいぎるときに、こちらをいて、昨日きのうよりもいっそうなつかしげに、微笑ほほえんだのであります。そして、なにかいいたげなようすをして、ちょっとくびをかしげましたが、ついそのままいってしまいました。

 太郎たろうは、はたけなかって、しょんぼりとして、少年しょうねん行方ゆくえ見送みおくりました。いつしかその姿すがたは、しろみちのかなたにえてしまったのです。けれど、いつまでもその少年しょうねんしろかおと、微笑びしょうとが太郎たろうのこっていて、れませんでした。
「いったい、だれだろう。」と、太郎たろう不思議ふしぎおもえてなりませんでした。いままで一度どもたことがない少年しょうねんだけれど、なんとなくいちばんしたしいともだちのようながしてならなかったのです。

 明日あしたばかりは、ものをいっておともだちになろうと、いろいろ空想くうそうえがきました。やがて、西にしそらあかくなって、日暮ひぐれがたになりましたから、太郎たろううちなかはいりました。

 そのばん太郎たろう母親ははおやかって、二日ふつかおな時刻じこくに、きんをまわしてはしっている少年しょうねんのことをかたりました。母親ははおやしんじませんでした。

 太郎たろうは、少年しょうねんともだちになって、自分じぶん少年しょうねんからきんを一つけてもらって、往来おうらいうえ二人ふたりでどこまでもはしってゆくゆめを見みました。そして、いつしか二人ふたりは、あか夕焼ゆうやぞらなかはいってしまったゆめました。

 くるから、太郎たろうはまたねつました。そして、二、三日にちめに七つでくなりました。

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