今は大学の入学式の真っ最中。
昨日は色んなことが起こりすぎてよく寝れなかった。
朝起きたら元カレとあったのは夢なんじゃないかと思ったけど、大学に着いたら彼がいたから現実なのだと改めて思い知らされた。
あんなに楽しみにしていた入学式でさえも早く終わって欲しいと思ってしまう自分がいる。
あぁ。早く帰りたい...。
感情を無にしているとやっと式が終わった。
やっと終わった...。早く帰ろう...。
帰ろうと思ったら誰かに声をかけられた。
振り向くと男が数人いた。私と同じく大学に入学した方々だと思う。
でもなんで私を?
は?飯?いきなりなんなんだ?この人達...。
まさかナンパってやつ?まさか私がされるとは...。
そう言って立ち去ろうとしたら手首を掴まれた。
私が断ると他の人が話しかけてくる。
これはヤバいんじゃ...?
私が声を上げた瞬間。低い声が響いた。
数人の男達は私と桃園さんを交互に見る。
かのじょ?今、桃園さん、バッチリ彼女って言ったよね!?
桃園さんが笑みを浮かべて言う。もっともその笑みは黒なのだが...。
数人の男達は私の手を離してどっかに行ってしまった。
手首をさする私を桃園さんが覗き込んでくる。
私は少し低い声で桃園さんに言った。
私は桃園さんの彼女に戻った覚えなんてない。
と桃園さんは頭をかきながら言う。
そう今度は呆れた表情で言われる。
確かに式中に視線を何度か感じたけど...。それより、私のどこがいいんだか...。
何はともあれ気をつけないと...。
私が行こうとすると桃園さんに呼び止められた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!