今は大学にいる。いつしか私と成美と桃園さんは3人で行動するようになっていた。最初は桃園さんと一緒っていうのがものすごく嫌だったけど成美が嬉しそうだったから我慢することにした。
私達とすれ違った数人の女子生徒がヒソヒソと呟いた。桃園さんはというと何も気にしてないようだ。
いつのまにか桃園さんがこの大学で人気者になっていたのには驚いた。少しずつファン(?)が増えていき、今ではファンクラブまであるらしい。
そして桃園さん信者が言うには桃園さんはかっこよくて文武両道なさわやかイケメンらしい。
絶対違うなと思いながらも私は信者達の夢を壊さないように気をつけいるつもりだ。
当の本人は中学時代もこんな感じだったからとっくに慣れていた。
私が煽ると桃園さんは顔を顰めて返事を返した。私もすごいってどういうこと?
2人とも呆れた顔で私を見る。どうしたのだと言うのだろう?
どんなイメージよ!?私にそんな少女漫画のヒロインみたいな設定つけてどうするき!?
急に話を振られた成美はキョトンとしている。実は成美もかなり人気なんだよね。
さっきの私と全く同じ反応をする成美。やっぱり知らなかったんだw。
桃園さんが突然思い出したかのように言った。
月永 翔也は噂とかで聞いたことしかないけどチャラチャラしてるくせに頭はいいらしい。さらにオッドアイらしくてそこも人気のひとつらしい。たまーにいるタイプだ。
と、翔也信者の子の声が上がった。
桃園さんはどこか楽しそうだ。私には理解ができないが...。
月永さんが声を上げた瞬間、周りの女子生徒が一気に彼を囲んだ。さすがは人気者。
ん?今月永さんと目合わなかった?気のせい?
気のせいじゃなかったー。なんかこっち来てるんだけど...。なんでこっちくんの!?
成美達のことはガン無視している。気づいていないだけかもしれないけど...。
さて...。どうしよう...。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。