突然ですが、ただ今、私、あなたは...。
とっても困っています。
問題はこいつ。元カレの桃園 さとみ。
大学の講義は選択制なのだがさっきから、ていうか今日一日ずっと私と同じ講義を選んでくる。絶対にわざとだ。
私はさすがに痺れを切らして桃園さんに詰め寄った。
でも桃園さんは一切うろたえずに、いや、逆に余裕そうに答える。
大学生の男女がわざわざ一緒にいるなんて目立つに決まっている。私はそんなこと求めていない。てか、ガチめに嫌だ。しかも相手が桃園さんなら尚更だ。
桃園さんはことあるごとくこんな話をしてくるからそこもめんどくさい...。
いや、幼稚園児か...。
私は桃園さんをガン無視して次の教室へと向かって行った。
今日は大学生活2日目。昨日は桃園さんのせいで初日だというのに散々だった。
だから今日はいつもより早く起きて大学に来た。もちろん桃園さんの姿はない。
私は選択した講義の教室に入って行った。適当に空いている席に座る。
って言ってもまだ早いから人はほとんどいない。
ぼーっとしてたら隣に座っていた女の子が声をかけてきた。
綺麗な黄色の目に、その目と同じように鮮やかな髪。ニコっと笑ったその子を反射的にかわいいなと思ってしまう。
その子_黄星さんは自己紹介をしてくれた。
ちなみに桃園さんは一応、知り合いに入れているので安心してほしい。あくまで一応だが...。
なんて呼べばいいんだろう?黄星さんだとよそよそしいし...。
成美は顔をパァっと輝かせる。どうやらすぐ顔にでるタイプらしい。
桃園さんのこと...だよね?なんでそんなこと聞くんだろ?まぁ、いっか。
成美を見ると微かに頬が赤い気がする。え?これって...。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。