会議から数日後
訓練場へ向かう場所の室内は重苦しい空気で満ちていた
まさか、貴族からの監視が付くなんて…
まー仕方ないんじゃないの?貴族なんだし
ほかの"貴族"ならまだましだったでしょうけど、よりにもよってブランシェ家からなんて…
何か悪いことでもあるの?
そういえば風の噂で聞いたことがあるのですが、ブランシェ家は悪魔執事を直接グロバナー家の軍門に加えるべきだと提言している…と
その噂は概ね間違いではありません
え?どういうことですか?
悪魔執事を軍門に加えるそれは今よりも行動が制限され、唯の天使を狩る道具として扱われるということですね
なんでそんな酷い子こと…今だって皆必死で天使と戦っているのに…
道具は道具らしくしていろって感じね
え?
一連の会話を聞いていたテディは不思議そうな顔をしながらそう声を漏らした
テディ、どうしたの?
いえ…俺が軍にいた時のオフィーリア様の印象と皆さんが持っている印象が噛み合わなくて…
え、何?なんか表裏あったりすんの?
貴族は何枚も仮面をつけているものですよ
うーん…そんな感じはしなかったんですけどね
むしろもの凄くいい人で部下からも慕われていましたよ
え…あの冷酷貴族が!?
冷酷貴族ってそのブランシェ家当主の人の事ですか?
そうそう、俺たち悪魔執事に対する態度が明らかに冷たいからいつの間にかそんな渾名が出来上がってたんだよ
テディさんもし宜しければ軍に居た時のブランシェ様の印象を聞いても良いでしょうか?
はい!
そこからテディの話を聞いたところによると…
曰く、一番下の兵であっても気にかけてくれる
曰く、部下に対して酷い扱いをした上司は尽く自ら直々に罰する
曰く、身分を鼻にかけず接してくれる
等etc…
いや、まるっきり私たちに対する態度と違うじゃん!
それに俺が悪魔執事になる前に居た病院でも偶に顔を出して労いのお言葉を頂いたりしましたよ
まあ、その言葉をその当時の俺は素直に受け取れませんでしたが…
仕方がありません
その時はテディさんは絶望のどん底にいたのですから
しかし、こうも違うとなると私たちに対してなぜ扱いが違うのか…理由が気になりますね
考えても考えても分からない
何故、悪魔執事に対してのみ扱いが違うのか
その理由が分かるのは結局ブランシェ家当主、ただその人だけなのかもしれない
訓練所に着くと、先に着いていたハウレスたちに出迎えられた
そして、彼らはそのまま貴族の使者を出迎える準備をしていた
はー…なんで冷酷貴族の使者なんかの出迎えの支度をしないといけねーんだよ
仕方がないだろう…出来れば俺もしたくは無い
まあ皆そうだよね
気が重いっス
うーん…決定事項だからね
ごめんね私があの時断りきれていたら良かったんだけど…

仕方ないですよ誰もあの人の決定を覆せはしませんから
ん?なんかエデンソワソワしてないか?

ふぇ?そ、そうでしょうかソワソワ((・ω・))
ソワソワしてるね
もしかして楽しみ…とかか?

Σ(・ω・;)ギクッ
なーんてな……………まじかよ

『ねーさん!!!!!!!!』

『いやいや、ルカくん?言葉に出さなくても聞こえてるよ?』

『あ』

『筒抜け…んふ、先生、フィス面白い』

『だそうだよ』

『思わず笑ったわ
愛しの姉さんと会えると分かって嬉しいんだな(笑)』

『お前今度あったら覚えとけよ』

『へーへーそうですかー(棒)』

『マジで!覚えとけ!!』

『少し静かにして貰えますか?』

『分かりました!ミノ様!!!』

『けっ』

『し ず か に して頂いても?』

『はい』

『ハイ』

『さーて勉強の続きだよ』

『うん、フィス行く』

『ふふ、頑張ってくださいね』

『イチホシもね』

『ええ、分かっていますよナビダ』

『…いいな(´・ω・`)』

『イチホシってば私とのテレパシー滅多にしてくれないのに』

『俺なら何時でも姉さんとお話するよ!!』

『うるさい』

『黙れ犬』

『あ"?』

『だって…ねぇ』

『まー寂しがり屋は扱いが難しいからね』

『ひ ど い』

『年長組の距離感』

『仲良し』

『お互いわかってる感じが…なんか……な』

『語彙力ないな』

『うるせー』

『あの…ルカさん』

『お、エデンか』

『なんだ?』

『ルカさんが反応しない…と悪魔執事の皆さんがプチパニック起こしてます』

『んな!?』

『テレパシーに集中しすぎて上の空…です』

『第三者目線から見ると、直立不動のまま気絶しているように見えます』

『……すぐ戻る』
ルカー!!!!!
ルカさん!!!
起きてくださーい!!!
これは立ったまま気絶してるのかな…でも瞬きはしてるし…
どうしましょうか…

俺は大丈夫です
ルカが喋ったー!!!!!!!

そんな珍獣を見るような目しないでください
あ、あぁすまない
またッスね((コソ
まただな((コソ

そこー?聞こえてますよー
話している所すまないが、使者が来たようだ
バスティンがそう告げると辺りに緊張が走る
皆さん…行きましょう
そして、使者を迎えるために玄関へ向かった
貴族の紋章が刻まれた立派な馬車
それが悪魔執事たちの前で止まる
ドアが開き、現れたのは2人の男女
2人の男女はそれぞれ執事服とメイド服を纏っていた
彼らは悪魔執事に向き直ると人の良さそうな笑顔を浮かべ…しかし冷ややかな目で悪魔執事を見つめながら自己紹介をする

皆様お初お目にかかります

ブランシェ家筆頭メイド
アリス・シエルローズで御座います

同じくブランシェ家執事
レオン・シュバルツと申します

この度は皆様の様子を監視せよとご主人様から申し付けられております

率直に申し上げる
くれぐれも怪しい動きをしないように

さもなくば…

悪魔執事の中から一名人質として連れていく

心しておくように

では1ヶ月間よろしくお願いいたします
今思えば、これが悪夢の始まりだったのかもしれない
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