第20話

やさしいココロ
82
2020/09/07 09:41
ガタンッ
先程いらっしゃった小さなお客様の座っている
テーブルの方から、大きな物音がした。
何事かと急いで向かえばそこには…
榊鷹志
zzz
幸せそうに眠る小さなお客様の姿。
起こすのはなんだか気が引ける…
ですが、そろそろ閉店時間。
近くにあったランドセルの中を少し見せていただき、
中に電話番号が入っていたため、
親御さんに電話をかけた。
榊三香子
はい、もしもし。
南夏目
榊鷹志君の親御さんでしょうか。
榊三香子
はい、そうですが…
南夏目
私、カフェまたたびという店で
店長をやっております、南と申します。
榊三香子
はぁ…
南夏目
ただいま鷹志君は眠っています。
榊三香子
え。
南夏目
お迎えをお願いしたいのです。
榊三香子
わ、わかりました。
そのあと、住所を教えて迎えに来てもらった。
榊三香子
お手数おかけしました…
榊鷹志
おねーさんありがとう!
南夏目
いえいえ。
榊鷹志
ねえママ。
本、途中なんだけど…
榊三香子
わがまま言うんじゃありません。
南夏目
…鷹志君。
榊鷹志
なあに?
南夏目
これ、あげます。
榊鷹志
え?いいの?!
南夏目
ええ。
榊三香子
でも…
南夏目
大丈夫です。
同じものが残り4冊ありますから。
榊三香子
そうですか…
ありがとうございました。
榊鷹志
ありがとうございましたぁ!
南夏目
はい、お気をつけてお帰りください。
嬉しそうに本を抱えて帰っていった。

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