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「見えていますか?」
しーんと静まり返った
空間に響く、
わたあめみたいにふわふわとした
可愛らしい音。
「っ……!!」
その言葉を理解できたことに
また驚いていたら、
『見えているんですね』
とため息交じりの声がした。
がさごそと動き始めるそいつ。
最初に手がひょいっと出てきて、
次に胴体、
そして最後は頭。
……本当に完全に、僕達と同じ。
ただ、
僕達とひとつだけ決定的に違うのが、
ものすごく……
小さいということ。
これは夢?
幻覚?
僕は驚きすぎて腰まで
抜かしてるのに、
どうして君はそんなに冷静なの?
「……だれ?」
聞きたいことは山ほどある。
でもやっと口から出てきたのは、
たったそれだけだった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。