第18話

秋の友達
15
2019/12/29 09:05










父さんのしていたこと。



それは

















澤田理乃
澤田理乃
......ごめんなさ......ごめんなさい、お父さん......おねがい、もうやめ......



世間が、虐待ぎゃくたい と言ってるあれだ。
俺はすぐに周りのヤツらに話した。

「もしかしたら俺の義姉あねは虐待を受けてるかもしれない」と。






勘違いでしょう?


随分勝手なことを言うな、証拠はどこにある?






何度そう言われたことか。




......ちなみに、それを言ったヤツの中には、義母かあさんと父さんも含まれてる。


そう、義姉ねえさんの実の両親が言ってたんだ。




ああ、......サイテーな奴らってこうも身近にいるもんなんだな。


不思議と、自分でも驚くほど冷静にそんなことを思えてしまうほどだった。





──具体的に何をされてたかって言うのは、さすがに言いたくない。


一度問い詰めてみたら、
澤田理乃
澤田理乃
......暴力を振るわれてる
って。
澤田理乃
澤田理乃
物理的にも、精神的にも。
あ、せーてき?なことはされてないよ?
もしされてたら、絶対、すぐに幸輝くんに言うし、それに通報してると思う......
そんなふうに返された。


その時、心配をかけさせないためだろうけど、義姉さんは笑顔を見せた。
もちろん、心から笑ってるって感じではなかった。


けど、......だから、俺は逆に笑えなかった。






どう返せばいいのか分からなくて、義姉さんの顔を見つめたままの俺に、いつかのように彼女は言った。



澤田理乃
澤田理乃
だからね、私が幸輝くんに話してないってことは、そんなに酷くはないってことだよ。ほら私、ボロボロに見えないでしょ
澤田理乃
澤田理乃
それに、こうして幸輝くんと一緒に居られるのがすごく嬉しい。私達くらいに仲のいい姉弟なんて、きっと他にいないよ


また笑う。はにかんだように、優しく。
そして、俺の髪をわしゃっとちょっと強引にでた。




それに対して俺は、ただうつむくことしかできなかったんだけど、義姉さんは
澤田理乃
澤田理乃
よし、元気でた!
そう言って、部屋を出ていったんだ──。








―――――




山本想乃
山本想乃
──ね、なんで......何もできなかったの?
澤田幸輝
澤田幸輝
......それは
山本想乃
山本想乃
責めてるわけじゃないよ。純粋な疑問。
なんで、何も返すことができなかったの?
澤田幸輝
澤田幸輝
............



......なんで、だったんだろう。



自問したことなんてなかった。


あの時に何かできていれば良かったのか?


と、ただただ後悔するばかりだったんだ。その時の俺は。




ほぼ無理やりだが、口を開いてみる。
澤田幸輝
澤田幸輝
............あの時、どうすれば、どう返せば


そこまで吐き出して、何もでてこなくなった。


............言葉が、上手く見つからない。
澤田幸輝
澤田幸輝
義姉さんが今も笑えていたのか。
......それが、あの時の俺には分からなかったんだ
山本想乃
山本想乃
......うん
想乃は、優しくうなづいてくれる。

その動きが、なんだか俺を安心させてくれた。
澤田幸輝
澤田幸輝
......それで、ずっと後悔して後悔して......
今の今まで、ずっと。

何度もあの日のことを思い返しては、後悔して、.....また自分が嫌になって。
澤田幸輝
澤田幸輝
あの店──Ropenterロペンターのことを知ったんだ

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