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──忘れもしない、あの日。
東京に引っ越して、約1年経ったある日だった。
葉月が……
死んじゃった日のこと。
ーーーーーーー
東京に着いた私達は、はしゃいでいた。
だって、見たことのないお店とか、お菓子とか、色々あるから……!
これなら、東京に来て正解だったかも……。
しばらくして、私達は気になったお店に入ってみた。
それは、テレビで紹介されていたという
クマの形をしたキーホルダー。
2つがセットになっていて、手にはひまわりを持っている。
今は夏だから、だそう。
それにしても、話に聞いていたとおり、すっごく可愛い……。
これを葉月とつけてみたいな。
なんてね。
母「あら、可愛いキーホルダー。2人でつけるの?」
母「ふふ、あなた達は本当に仲がいいわねえ。
そういうことなら、買ってらっしゃいな」
そう言って、お母さんは100円玉を5枚くれた。
そうして、私と葉月はお揃いのキーホルダーを買った。
なんでか、クマが持っているひまわりを見る度に、雛ちゃんや
叶ちゃんのことを思い出せる。
また一緒にひまわり畑行きたいな……。
そういえば、あそこで絵を描いていた子は、誰だっけ……。
綺麗な子だったな……。
あの子にもまた、会いたいなあ……。
――――――
その時の私はまだ、東京に来たという嬉しさとかで
浮かれてた。
だから......葉月の思いに気づけなかったの。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。