第3話

夏の精霊
28
2019/02/08 09:36









──忘れもしない、あの日。


東京に引っ越して、約1年経ったある日だった。


葉月が……





































死んじゃった日のこと。










































ーーーーーーー
雛田葉月
雛田葉月
わぁ……!ここが東京かぁ……
雛田未津羽
雛田未津羽
すごいね……!


東京に着いた私達は、はしゃいでいた。
だって、見たことのないお店とか、お菓子とか、色々あるから……!







これなら、東京に来て正解だったかも……。








しばらくして、私達は気になったお店に入ってみた。
雛田葉月
雛田葉月
おねーちゃん!
これって雛が言ってたやつじゃない?
雛田未津羽
雛田未津羽
ほんとだ!可愛い……♡


それは、テレビで紹介されていたという
クマの形をしたキーホルダー。
2つがセットになっていて、手にはひまわりを持っている。
今は夏だから、だそう。





それにしても、話に聞いていたとおり、すっごく可愛い……。








これを葉月とつけてみたいな。









なんてね。







雛田葉月
雛田葉月
……おねーちゃん
雛田未津羽
雛田未津羽
なあに?
雛田葉月
雛田葉月
このキーホルダー、一緒につけない?
雛田未津羽
雛田未津羽
えっ、いいよ!
雛田葉月
雛田葉月
やったあ!
……ねえお母さん。
このキーホルダー、買ってもいい?
母「あら、可愛いキーホルダー。2人でつけるの?」
雛田未津羽
雛田未津羽
うん!
母「ふふ、あなた達は本当に仲がいいわねえ。
そういうことなら、買ってらっしゃいな」



そう言って、お母さんは100円玉を5枚くれた。
雛田葉月
雛田葉月
ありがとうお母さん!
お姉ちゃん、行こ!
雛田未津羽
雛田未津羽
ありがとう、お母さん!!





そうして、私と葉月はお揃いのキーホルダーを買った。





なんでか、クマが持っているひまわりを見る度に、雛ちゃんや
叶ちゃんのことを思い出せる。



また一緒にひまわり畑行きたいな……。



























そういえば、あそこで絵を描いていた子は、誰だっけ……。




綺麗な子だったな……。










あの子にもまた、会いたいなあ……。



































――――――


その時の私はまだ、東京に来たという嬉しさとかで
浮かれてた。





だから......葉月の思いに気づけなかったの。

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