あなたside
「…はぁ、結局…バレー部に行けなかった」
及川先輩のバレーが見たかった。
けど、…
智「もう近付かないで」
ふと思い出すトモちゃんの一言。
それが、多分私の1番頭の中に残っている。
その一言が、頭の中でずっとグルグルとリピートされて
頭が痛い。
嗚呼、なんて酷いんだ。
信じていた親友にまで裏切られるとは。
1人、部屋のベットに飛び込み、また
先輩や、トモちゃんのことを考え出す。
でも、そんな時に下の部屋からお母さんの声が聞こえた。
母「あなたー!お客さんよー?」
誰だろう……、お客さんて…
友達もあんまいない私は家にあんまり友達を呼んだこともないからお母さんも
私がどういう人とつるんでるか分からない。
てか、言っていない。
「…誰?」
母「あって見ればわかるってば!…ほらほら!玄関へ行った行ったー」
グイグイと背中を押す母の言葉に自分の意見を飲み込む。
母に押されながらも、玄関の方へ行くと
そこには…、
及「…やっほ、あなたちゃん」
「…え、及川…、先輩?」
先輩がいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!