あなたside
「何してるんですか…、…部活は?」
及「部活は終わったよー、あなたちゃんに会いたくて」
照れ臭そうに言った先輩の頬に伝う汗。
多分走ってきてくれたのだろう。
「……私に会いに?…」
及「今日とか、…前もさあなたちゃん俺に目を合わせなかったりしたじゃん?」
「あー…、」
ここ2週間ぐらい、先輩とは話してなかったし、
会ってすらなかった。
トモちゃんに言われたからには、その約束?を守るのが正しいと考えたから。
及「…俺が教室行くとさ、トモちゃんに呼び止められたり、ほかの用事が出来たり…」
「…、いや、最後のは偶然ですよ」
及「…そうだとしても、俺はあなたちゃんとここ2週間喋れなかったのが嫌だったの。」
及川先輩の瞳にはちゃんと私が映っていた。
どこ見てるんだろう、
そんなこと考えた卦度、私の姿を捉えた先輩の目がとても綺麗だと思った。
私の事をしっかり見ていてくれて、
優しくて、
私の為にここに来てくれた、…
心の奥に閉まっていた感情が込上げる。
ずっと、言えなかった気持ちが
「…ッ…わ、私も先輩と喋りたかったです…」
ポソッと聞こえるか聞こえないかの声で言えば、絶対に
聞こえてるはずの先輩はもう一度聞き直してきた。
少し屈んで、自分を私の目線に合わせてくれる。
そんで、「どうしたの?」って優しく問われる。
思わず、ドキッとなるけど
深呼吸をして、ドキドキしている気持ちがバレないように
もう一度
「話したかったです」
と述べた。
その一言を聞いて満足したのか、
先輩は私の頭に手を置いて、撫で回してきた。
ワシャワシャッ…
髪が乱れるまで撫で回す及川先輩に、
されるがまま。
及「なんだ、あなたちゃんも同じだったんだ〜」
撫で回す手を離すと、かおをそらされた。
先輩の方を見ると、嬉しそうに笑っている先輩の姿がある。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。