第34話

岩泉side (岩泉編へ)
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2019/10/07 14:02

岩泉side



知ってた。

及川があなたの事好きだなんて







及「あなたー」

「?はい?」




たまたま見かけた……なんて言うのは嘘だ。



今日は、部活の事で相談があって及川を
読んだけど、


男子「及川なら、さっき出ていったけど〜?」


岩「そうか、」














岩「…彼奴…どこ行ったんだよ……」



教室には居なくて、3年の教室全部回ったけど、

松川や、花巻の所にもいなかった。




で、……たどり着いた時………


及「俺、あなたが好きだよ。」



及川の声だった。





聞き間違いかと思い、また耳をすませる。


及「返事はいつでもいいからまた考えてて?…」



やっぱり及川だった。













話が終わって及川がこっちに歩いてくる。


あなたはびっくりしているようで、立ち止まったまま。




偶然あったかのように見せかけようと、

及川が廊下を通り過ぎたところであなたの所へ向かった。



岩「…はぁ、…はぁ…だいじょうぶか?」



下を向いて何も言わないあなたを前に話しかける。


するとあなたが顔を上げた。






「…ヒグッ……グズッ…」



酷くないていた。



大粒の涙を一つ一つ落として。



岩「あなた…、」


ギュッ……




唯、その時は あなたを落ち着かせてあげたかっただけ。


そばにいてあげたかっただけだ。





けど、無意識にあなたを抱きしめていた。





ビクッとなるあなた。






そして、恐る恐る俺の顔を見た。


「はじめ…さん?…」



岩「泣きやめよ。」




今度は頭を撫でてみる。


「大丈夫、大丈夫」って言いながら。





「…有難う御座います。」



その後に言われたのはお礼の言葉。

俺はそばにいて、頭を撫でただけ、、



当たり前のことした迄なのに、






岩「おう、…よかった、落ち着いて」


俺の言葉にふんわりと笑顔を見せるあなたは、

さっきとは全く違い、なにかを決めた表情をした。







「…一さん、…私決めました。」


そう言ってぺこりと頭を下げた あなたは

手を振りながら俺の横を通りすぎた。








俺じゃダメだ…なんて気づいたのは、多分この時だった。









岩「好きなのに……」


誰もいない空間に1人、呟いた。


呟いたあとには大粒の涙。







岩「な、…なんだよ…これ… 」

拭っても出てくる雫に、抵抗出来なくて


それでも、泣くのをやめようとのあなたの事なんか考えるのを辞めようとする。










けど、こういうのって無理なの知ってるよな。






考えたくなくても、 あなたが頭にずっと残ってて、


考えたくなくても考えちゃって、


あなたはなんで俺じゃなく及川なんだろうって







なんで、俺がこういう思いをしなくちゃなんないのかって。




なんで好きになってしまったのか、

全くわからなかった。







少し落ち着いた所で廊下の窓を開け外を眺める。



空は茜色に光っている。


それはとても綺麗だった。





「及川さん!!」




ふと聞き覚えのある声に下を見た。




あなただ。








及川を前にあなたは泣き出しそうな顔をしている。



それだけ恥ずかしいんだな。






顔を真っ赤にして、息を深く吸ってゆっくりと話し出した。





正直聞きたくなんてなかった。

あなたの告白する所なんて。


















「及川さん、…好きです。」







岩泉 side 終了






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