私は、あの後碧葉と別れて、家に帰った。
そして、今から外食だ。私の両親(高宮くんの本当の両親)が、高宮くんと夏樹ちゃんを迎えに行って、お店へ行く。
私は、昼間に碧葉に言われたことを思い出す。
『これは勘だけど、高宮さ、梨乃花のこと好きだと思うよ』
もし、本当なら、多分叶わない恋だ。いとこ同士であるから、私も高宮くんのことは好きになってはいけない。高宮くんは、まだ知らないと思うけど。
ピンポーン。
高宮くんの家のインターホンを鳴らす。ほどなくして、高宮くんと夏樹ちゃんが家から出てきた。
『香澄』は、母の名前だ。
『奏斗』は、父の名前だ。
そして、私達はレストランに到着した。みんな食べたいものがそれぞれなので、ファミレスだ。
やっぱり、食べ物の趣味って男女それぞれなんだな。
全員の頼んだメニューが揃ったところで、母があの話を始めた。
夏樹ちゃんは納得したようだけど、高宮くんはまだ信じられないようだった。
高宮くんが目を見開いた。
父がそう言ってから、全員が黙り、無言で食事をした。そして、帰り際に高宮くんに呼び出された。
今の高宮くんは、さっき告げられた事実が衝撃的すぎて、元気を失っている。
何か言いたげだけど、無理に聞くことじゃないよね。
その時に、夏樹ちゃんが来たので、話は途切れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!