第21話

元カレ
130
2018/06/12 13:20
翌日の今日は、土曜日なので、学校が休みで、両親との約束の日だった。
両親は、午前の10時頃に、家に帰って来た。話によると、手術は成功したらしい。ただ、ダメージはまだ少し残っているので、あと1週間ほど入院した後、退院するらしい。
本当、成功して良かったわね
ああ。これで、思いっきり夕食を楽しめるな。
梨乃花
お父さんが一番楽しみにしてたもんね
その時、私のスマホが振動した。
いいわよ、行ってきなさい。
俺も今から仕事に行くからな
梨乃花
うん、ありがとう
自分の部屋に行って、届いた通知を見ると、高宮くんから届いていた。
高宮佑樹
無事に手術成功した。今日のこと聞いた?
梨乃花
今日のことって?
高宮佑樹
今日外食するだろ。その時俺と夏樹も一緒に行くことになったんだ。
え、どういうこと・・・?
そんなの聞いていない。
私は急いで母に聞きに行った。
梨乃花
お母さん!どういうこと⁉
何のこと?
梨乃花
今日高宮くん達も行くって聞いてないんだけど
ああ、高宮くんから聞いたの?
梨乃花
うん
梨乃花にはサプライズにしようと思ってたの
梨乃花
あ、そういうことか
サプライズなら言わなくて当たり前だ。
高宮佑樹
お母さんに聞いた?
梨乃花
うん。サプライズにしようとしてたんだって。
高宮佑樹
あー、俺言っちゃまずかったな(笑)
梨乃花
そうかもね(笑)
高宮佑樹
じゃあ、また夜にな
梨乃花
うん、バイバイ
トークを終えた。夜まで暇だな~。図書館にでも行こうかな。そう思って、家を出た。
 この街は、結構交通機関が整っていて、近くに駅があったりする。あまり街を歩いたことがなかったので、周りを見回しながら、歩いていたその時だった。
??
・・・・・梨乃花?
梨乃花
あ・・・蓮
そこには、私の元カレである、大崎蓮がいた。
大崎蓮
久しぶり、もう会わないと思ってたけど
梨乃花
・・・
この男はなんなんだ。付き合っていた頃は、優しくて、とても良い人だった。でも、私が別れを告げると、豹変したかのように、私のことを冷たくあしらった。
大崎蓮
ちょっとの間に綺麗になっちゃって
もう好きな人でも出来たの?
梨乃花
・・・
大崎蓮
もう俺に未練なんてないんだろ。俺は捨てられないほど残ってるけどね。
私だって、まだ未練は残ってる。残ってるから、恋なんてしないって決めた。もうこんな想いはしたくないから。
大崎蓮
何か言えよ?久しぶりに会って、嬉しくないの?嬉しいに決まってんだろ?
嬉しくなんてない。むしろ、一番会いたくない。もう好きでもなんでもないけど、でも会うと、振られた時のことを思い出して、辛くなる。
梨乃花
・・・
大崎蓮
ほんっと、冷たくなったな。付き合ってた頃は、俺に会うと、いつも笑顔で手を振ってくれたのにな。
冷たくなったのは、そっちだ。私が何も言わない時は、背中を撫でて、相談に乗ってくれたり、『もう大丈夫だから』って、慰めてくれたのに。私はあなたのせいで、こんなに辛い思いをしているのに。
大崎蓮
・・・梨乃花の声、聞きたいんだけど。聞かせてくれないの?
梨乃花
・・・あなたなんかに聞かせる声なんてない
大崎蓮
は?どの口が言ってんの?
蓮が、私の頬を強く引っ張った。
梨乃花
・・・っ
大崎蓮
俺にそんな口聞いていいの?悪いけど、手加減しないよ?
前は、こんなに冷たく、すぐ怒る人じゃなかった。だから、私もこうなってしまった。
??
あのさ、ちょっとイケメンだからって、調子乗ってんなよ
私の目の前に・・・碧葉がいた。
大崎蓮
は?てか、あんた誰だよ
桧山碧葉
私だってお前のこと知らないよ。でも、女子に手を上げる奴なんか放っておけないんだよ!
梨乃花
あ、碧葉・・・
桧山碧葉
もう大丈夫だからね
大崎蓮
は?もしかしてお前、梨乃花の友達か?
桧山碧葉
あんたこそ、梨乃花のなんなの?
大崎蓮
俺は梨乃花の彼氏だ
梨乃花
元カレでしょ!
桧山碧葉
うわー、たち悪いねー。まだ未練残ってて、梨乃花に突っかかって来るってことは、まだ梨乃花のこと好きなんでしょ。
大崎蓮
ち、ちげーよ!
蓮の顔が急に真っ赤になった。
梨乃花
そうなの?
桧山碧葉
そうだよ。絶対何かしないと、忘れてくれないよ。
梨乃花
何かって?
大崎蓮
・・・何かも何もねーよ!
梨乃花
でも、まだ私のこと好きなんでしょ?
大崎蓮
・・・っ、じゃあ、キスさせろ
梨乃花
は⁉
桧山碧葉
いくら何でもそれはねぇ・・・
大崎蓮
俺達、キスはしたことないだろ
梨乃花
でも、それじゃあ余計に未練残るんじゃ・・・
大崎蓮
いいからさせろ!
蓮が、思い切り顔を近付けて来た。
梨乃花
ちょ、ちょっと待って!口はちょっと・・・
桧山碧葉
梨乃花のほっぺたならまだいいんじゃない?
梨乃花
え、でも・・・
大崎蓮
それでいいか。
そして、私の右と左の頬の両方に、唇を当てた。
大崎蓮
よし。これで頑張って未練をなくす!
あれ・・・?思っていたより優しかった。やっぱり、根は悪い人じゃないから。

桧山碧葉
梨乃花?大丈夫だった?
梨乃花
う、うん!ありがとう!
私は、まだ少しドキドキしていて、頬がうっすら赤くなっていた。

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