翌日の今日は、土曜日なので、学校が休みで、両親との約束の日だった。
両親は、午前の10時頃に、家に帰って来た。話によると、手術は成功したらしい。ただ、ダメージはまだ少し残っているので、あと1週間ほど入院した後、退院するらしい。
その時、私のスマホが振動した。
自分の部屋に行って、届いた通知を見ると、高宮くんから届いていた。
え、どういうこと・・・?
そんなの聞いていない。
私は急いで母に聞きに行った。
サプライズなら言わなくて当たり前だ。
トークを終えた。夜まで暇だな~。図書館にでも行こうかな。そう思って、家を出た。
この街は、結構交通機関が整っていて、近くに駅があったりする。あまり街を歩いたことがなかったので、周りを見回しながら、歩いていたその時だった。
そこには、私の元カレである、大崎蓮がいた。
この男はなんなんだ。付き合っていた頃は、優しくて、とても良い人だった。でも、私が別れを告げると、豹変したかのように、私のことを冷たくあしらった。
私だって、まだ未練は残ってる。残ってるから、恋なんてしないって決めた。もうこんな想いはしたくないから。
嬉しくなんてない。むしろ、一番会いたくない。もう好きでもなんでもないけど、でも会うと、振られた時のことを思い出して、辛くなる。
冷たくなったのは、そっちだ。私が何も言わない時は、背中を撫でて、相談に乗ってくれたり、『もう大丈夫だから』って、慰めてくれたのに。私はあなたのせいで、こんなに辛い思いをしているのに。
蓮が、私の頬を強く引っ張った。
前は、こんなに冷たく、すぐ怒る人じゃなかった。だから、私もこうなってしまった。
私の目の前に・・・碧葉がいた。
蓮の顔が急に真っ赤になった。
蓮が、思い切り顔を近付けて来た。
そして、私の右と左の頬の両方に、唇を当てた。
あれ・・・?思っていたより優しかった。やっぱり、根は悪い人じゃないから。
私は、まだ少しドキドキしていて、頬がうっすら赤くなっていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!